糖尿病性ケトアシドーシスではインスリンは絶対に必要でした
よっしーが糖尿病性ケトアシドーシスで入院したのは3年半前のことです。数日間で体重が何キロか減り、呼吸まで苦しく、これはただごとではないと救急へ行って判明しました。
そのときはまだ1型糖尿病か2型糖尿病かもはっきり分かっておらず、体内ではインスリンがほとんど作用していない状態でした。
こんな状態だったので、最初からインスリンは使用していました。たしか点滴にインスリンを混ぜていたと思います。
危機的な状況を脱してからは、看護師さんにまずインスリン注射を打ってもらい、少しずつ自分で打つようになりました。1日4回です。
そして入院中に主治医に「退院後は糖質制限をしたいんです」と相談し、ただちにアピドラは中止、基礎インスリンのランタスだけそのまま行うことにして退院しました。
そのうちだんだんランタスの必要量は減っていき、7か月後には完全に注射をやめることができ現在に至ります。
よっしーの場合はいきなり最悪の状態からスタートしたので、インスリン注射をしないという選択肢はなかったのです。受け入れるしかありませんでした。
でも…そうではなく、「飲み薬ではイマイチ血糖値が下がらないねぇ」ぐらいの2型糖尿病患者さんたちが「インスリン注射を始めましょう」と言われたらすごく抵抗感があるのはよく分かります。
2型糖尿病患者にもインスリンが必要なの?
何も食べない時でも、私たちの体では24時間ちょっとずつインスリンが分泌されています。これが基礎分泌です。
糖質を食べなくても肝臓などで糖新生(中性脂肪を分解してできたグリセロールやアミノ酸、乳酸などを材料として糖を作り出すこと)が行われています。
基礎分泌のインスリンが足りないと、肝臓が必要以上に糖を放出するので空腹時血糖値が上がります。まったくインスリンが作用しないと、空腹時血糖値は数百~にまで上がります!
2型糖尿病は何らかの原因でインスリンの効きが悪くなっていることが多いので、その効きの悪さを補うために病気の初期はむしろインスリンは大量に分泌しています。通常の2~3倍なんてザラです。
でも通常の2~3倍ものインスリンを分泌しているうちに、疲れたすい臓のベータ細胞はどんどん過労死していき、とうとう十分な量のインスリンを分泌できなくなってしまいます。
自分のベータ細胞が破壊されてしまいインスリンを分泌できなくなる1型糖尿病の方はもちろんですが、進行した2型糖尿病でもインスリンを十分に分泌できないのでインスリン注射で足りない分を補う必要があると言うわけ。
糖質を普通に摂取すると、基礎インスリンよりずっと大量の追加インスリンが必要になります。このため、基礎インスリンを注射で補わなければいけない患者が普通にご飯を食べるなら、食事用のインスリン注射も必要になると思います。
しかし糖質制限を行うと、食事用のインスリン注射は不要またはごく少量で済むようになります。1型糖尿病で自己分泌ゼロのバーンスタイン先生は食事用のインスリン注射は3単位ぐらいだそうです。
まずインスリン抵抗性をなくす試みが重要だと思う
2型糖尿病患者の場合、インスリン抵抗性があると自己分泌であれ注射であれ、インスリンの必要量がかなり多くなってしまいます。
大量のインスリンが体内を循環することは、動脈硬化・がん・肥満・認知症などのリスクになることが分かっているのですから、まずインスリン抵抗性をなくすべきでしょう。
インスリン抵抗性の原因と考えられるものは、肥満・運動不足・遺伝・喫煙・他の病気・薬の副作用などです。
この中に思い当たる原因があるのであれば、ひとつひとつ潰していきましょう。軽い有酸素運動を週2~3回行うとインスリン抵抗性がぐっと下がることは実体験として実感しています。
ただ、遺伝だけはこれは自分がどんなに努力してもどうしようもないんですよね…インスリン抵抗性を改善する飲み薬を服用することも考えてみましょう。
メトホルミンは何十年も前から使われてきた安価な飲み薬で、インスリン抵抗性を改善し、肝臓の糖新生をセーブしたり腸から糖質が吸収されにくくする働きまであるそうです。
それで主治医に「メトホルミンっていう良い薬があるのに、なぜ私には出さなかったんですか?」と質問してみたら「あの時は病気の状態が悪すぎて、どうせ効かないだろうと思った」ですって。
まぁそれはともかく、まずはインスリン抵抗性をなくすために最大限の努力をして、それでもだめならメトホルミンを処方してもらい、それでもやっぱりダメな時にインスリン注射を検討すべきじゃないでしょうか。
患者はなぜインスリン注射を怖がるかというと…
医師からインスリン注射を始めようと言われると、2型糖尿病患者の約3割が拒否するそうです。よっしーの父も昔、医師に「インスリンや薬はイヤです」と懇願したとか…現在も使っていません。
それでなぜ糖尿病患者たちがインスリン注射を拒否するかというと「注射に対する恐怖心などが原因ではないか」と思われていて「注射手順を丁寧に説明してあげれば効果的」と言われているそうです。
ぶっちゃけ、よっしーの場合、注射が痛いとか怖いとかそんなことはほとんど問題にならなかったですよ。看護師さんに注射してもらった時もまったく痛みは無かったですし…
そんなことよりも「インスリンを人工的に注射して体に入れちゃって本当に害はないんだろうか?何か起こるんじゃないのか??」ということのほうがずっと怖かったです。
インスリン注射の中身のインスリンは、どこかの誰かの遺伝子を大腸菌に組み込んで大量に増殖させて作ります。大腸菌はすぐ増やせるのでインスリンを大量に生産することができます。
仕方がないこととはいえ、注射のインスリンは誰だかわからない他人の遺伝子を使って作られていますし、種類によってはちょっと構造を変えてあります。それは自己分泌のインスリンとは少し異なるものになっています。
またインスリンなので低血糖が起こる可能性は十分にありますし、アナフィラキシーショック・糖尿病網膜症の顕在化又は増悪(よっしーがまさにこの被害者…orz)などの副作用もあります。
2型糖尿病患者に本当にどうしてもインスリンが必要かどうか考えましょう
1型糖尿病の方はどうしても足りない分のインスリンを注射で補う必要があります。しかし2型糖尿病の場合、必ずしもそうとは限りません。
よっしーはかつて主治医から「あなたはこの先も一生ランタスが必要です」「インスリンを打ってあげればその分すい臓が休めるんだよ~」なんて言われていましたが、きっぱりやめました。
2型糖尿病患者はまず、インスリンを打つことを考える前にインスリン抵抗性をなくすことを考えるべきだと思います。
そして大量のインスリンを必要とするような食事を避ければインスリン注射は必要ないかもしれません、よっしーのように。
もっとも、「私はどうしてもご飯やパンが食べたいのでインスリンを打って普通に食べる」というのもその方の自由です。
ただしインスリン注射はあなたのすい臓が分泌している自前のインスリンとはまったく同じものではないということと、副作用のことは忘れないでくださいね。