糖質制限とファスティングで2型糖尿病を…
たまたまTwitterで見かけたジェイソン・ファン博士の『トロント最高の医師が教える世界最有効の糖尿病対策』という本が気になったので読んでみることにしました。
「世界最有効」というぐらいですから、「糖尿病患者さんはバランスよく食べて適度に運動してきちんとお薬を飲みましょうね~」という程度の内容でないことは分かっていました。
ジェイソン・ファン博士はカナダ在住の医師(医学博士)で、減量と2型糖尿病の治療に「ファスティング」を取り入れた第一人者ということです。
今まで何となく「ファスティング(断食)で痩せるから糖尿病が良くなるってことなのかな?」と思っていましたが、どうやらそれだけではないようです。
実際、普段かなり食べている人でなければ、1日食事を抜いたぐらいでは大して体重は減りませんよね。
この本の内容をごくざっくりと言うと「糖質制限+ファスティング」という感じです。なので、疾患をお持ちの方で医師から糖質制限をしてはいけないと言われている方には向きません💦
多少なりとも糖質制限に興味がある方や糖質制限をすでに実践しているけどイマイチうまくいかない…という2型糖尿病患者さんまたは予備軍の方にピッタリの本だと思いました。
なるほど…これは読みごたえがありそうな本だニャー!
400ページ以上ある本だからね!
インスリン抵抗性をなんとかすべし!
例によってあんまり詳しくネタバレすると叱られるのでほんのちょっとだけ本の内容を紹介していきたいと思います♪
この本には、世界中で増加する2型糖尿病の原因とその対処法について解説されています。従来の治療法では十分に効果が得られない患者もたくさんいる理由なども。
2型糖尿病患者に対するインスリン治療の功罪、糖質(特に果糖)の過剰摂取がどう糖尿病とかかわってくるのか、太っていなくても2型糖尿病になる理由は何か…興味深い内容ばかりです。
また「1週間のうち丸々1日食事を摂らない」と「毎日300kcalずつ食事を減らす」では1週間当たりのトータル摂取エネルギーは同じはずなのに結果が違うのはなぜか、など。
著者は「インスリン抵抗性(インスリンはきちんと分泌されていても効きにくい状態)」にポイントを置き、インスリン抵抗性が起きる原因と対策法を説明しています。
「たくさん食べて太るからインスリン抵抗性が生じるのだ」というのは有名ですが、ではどういう機序でそうなるのか、また太っていない人にもインスリン抵抗性が生じるのはなぜでしょうか?
漫画の1コマ目で「インスリン治療を開始してから10キロ太った」と嘆く2型糖尿病の女性が登場していますが、実際にこのような話は何度も聞いたことがあります。
痩せたいと思っているのにインスリンを打って痩せるどころか太っていくというのはとても大変ですよね。
以前から「1型糖尿病の方がインスリンを注射で補うのと2型糖尿病患者のそれは同じと考えてはいけないのではないか?」と思っていました。
2型糖尿病でも6年前にケトアシドーシスを起こした私のような状態であれば注射は必要ですが、まだインスリンを分泌する能力がかなり保たれている方はインスリン抵抗性をなくすほうが先ではないでしょうか。この本には「インスリン抵抗性をなくす方法」が書かれています。
2型糖尿病に負けないように…
私が入院していた時、糖尿病教室で「糖尿病合併症になるのは真面目に治療をしなかった人だけです」と言われましたが、実際は真面目に治療していてもじわじわと悪くなって人工透析になる方や視力を失う方も少なからずいらっしゃることを知りました。
それは残念ながら、今までの治療法が万人にとって十分な結果を得られるものではなかったということでしょう。人工透析や失明に至った方が全員、治療を真面目に受けていなかった方だとは私には思えません。
この本ではまず糖質制限、運動にも効果はあるがそれほど大きいものではないということが述べられ、糖質制限や高度に加工された食品を避けるだけでは効果不十分な場合はファスティングを組み合わせることが提案されています。
運動で筋肉のインスリン抵抗性は改善できても、肝臓のインスリン抵抗性を下げるにはやはり食事が大切であるとの記述には納得!
さすがに「週に3回ファスティングの日をもうける」のはかなり大変そうですけど、間食をやめるとか週1日だけファスティングするという方法ならわりとやりやすそうです。
※何らかの疾患で低血糖になりやすい方、インスリン注射や経口血糖降下薬を服用中の方は医師に相談してから!!
糖質制限をしてはいけない人以外は1度読んでみるといいニャー!
そうね、やるかどうかはじっくり考えればいい事よ。