甘いものが我慢できない意志の弱い医師!?
またまた漫画のペン入れに追われて久しぶりの更新になってしまいました。
さて、私の連載漫画『ケットウ!~糖尿病内科医・甘栗美咲~』にはちょっと変わった糖尿病専門医がひとり登場します…その名は「原太(はら・ふとし)」先生!!
商業漫画ゆえ勝手に画像を貼ったり出来ず申し訳ないのですが、名前の通り「メタボ体型で甘いものが大好き」な、糖質制限なんてまったくしていない糖尿病専門医です~。漫画の何処かに出演しているのでアプリから探してみてくださいね♪無料です。
「えっ、糖尿病専門医のくせにそんなんじゃダメじゃん!!」と思われるでしょうし、実際にそんな先生がいて「糖質をたっぷり食べなきゃダメですよ!」などと言われようものなら私だって「先生こそそんなに食べなくていいんじゃないですかっ!?」と言い返したくなるかも。
でもね、原先生は自分は甘いものが大好きだけど、だからといって「甘いものは大事なんです!」と患者さんたちに押し付けたりはしないのです。
原先生は自称「意志の弱い医師」。食事療法をなかなか守れない患者の気持ちは誰よりも分かっていて、そういう患者がどうしたらいいのかを一緒に考えてくれるというわけ。
ある意味患者さんに最も近い医師かもしれないにゃ。
食事制限しなければいけない辛さってあるわね。
理想を語るだけなら簡単だが…
私が糖尿病と診断されたのは9年と少し前です。わりとすぐ「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」という本と出会いましたが「こんな厳しい制限、出来るわけないじゃないか!!」と最初は思ったのです。
1型糖尿病のバーンスタイン医師は糖尿病腎症などの合併症を克服され、89歳の現在もお元気です。少しでも近づきたいと思い、以来彼の本に書かれている食事療法は出来る範囲で継続しています。
でもこれは、すべての患者が容易にできる方法ではないと思います。私は崖っぷち状態から開始したこともあり、「甘いものなんか要らないからとにかく生きたい」と必死だったので出来たのかもしれません。
しかし、毎日お腹いっぱい白いご飯やパスタ、パンを食べるのが生きがいと言う方に「今日からそれは全部やめなさい」と言っても続くと思いますか?
結局、どんなに効果的な方法でもやるかどうか決めるのは自分なわけで、継続できない方法なら仕方ないので別のやり方を考えるしかないのです。
幸い今はいろいろな薬が出ているので、昔よりは糖尿病治療の選択肢は広がっているのかもしれません。糖尿病がそれほど重症でなければ、薬を使えばちょっとぐらいは食べても大丈夫な場合もあるのかも?
糖尿病は長く付き合う病気です!
先日、私の主治医が「この年齢(50代)になればいろいろ思うのよ。きっちり厳格にあれもダメこれもダメと言ってコントロールしようとしたって…ね」と。
なるほど、その人の生きがいを奪ってまでマニュアル通りに理想の生活をさせようとしても所詮無理だし、言われたとおりにしたら患者は全員糖尿病が寛解するわけでもありますまい。高齢の患者は特に。
私は自分で考えて糖質制限を選択したけれど、皆が同じようにしなければいけないわけではなく、実際問題なかなか難しい方は多いはずです。
だから原先生のような医師が、自分と同じように甘いものが好きでなかなか食事制限が出来ない患者の身になって治療方針を考えることも時には必要なのかもしれません。
もし糖尿病内科の医師たちがみんなムキムキマッチョでボディビルダーのような食生活で「あなた本当にやる気があるんですか?血糖値を良くしたいなら私みたいに完璧にやらなきゃダメでしょう!!」などと言ってきたらそれはそれで嫌だなと思う患者さんもいらっしゃるのでは?
糖尿病は長く付き合っていく病気なので、実践できないような方法であればその人にとっては現実的ではないでしょう。選択肢はいろいろあってよいのではないでしょうか?
継続することが大事だもんにゃ!
ただし選択の結果は自分が引き受けることになるのは忘れないでね!