スーパー糖質制限を行っても筋肉や運動能力は落ちない
アイルランドのウォーターフォード工科大学の研究によると、アスリート達に高糖質低脂肪食と低糖質高脂肪食を食べてもらうグループに分けてトレーニング(中等度強度持続運動トレーニング・筋力トレーニング・中等度強度持続運動トレーニング)を行ってもらったところ、後者のほうが摂取カロリーが多かったにもかかわらず体脂肪が減り、筋肉量は減っていなかったそうです。
ちなみに、後者のグループでは1日あたりの糖質摂取量は50g未満にしたそうです。これは江部康二先生のスーパー糖質制限(1食あたり糖質20g、1日あたり60g)よりもさらに厳しい制限ですね。
そして、実験期間終了時に体力テストを行った結果、前者と後者では実験開始時と比べて優位差はほとんどなかったものの、少なくとも後者が前者よりも劣っていることはなかったそうです。
比較的激しいトレーニングを行うアスリートたちでもこうなのですから、私たち普通の糖尿病患者が筋トレや有酸素運動を行う時、糖質制限が悪い影響を与えることはなさそうですね。良かった!
ところで、糖尿病の予防と改善のためにはいわゆる「ゴリマッチョ体型」でなければいけないのでしょうか。それとも細マッチョでOK?
よっしーは女ですが、どちらかといえばゴリゴリに鍛えていたので筋量は同年代の女性たちと比べてかなりありました。日頃からよく歩くこともあり、特に下半身の筋肉はかなりありました。
でもよく考えたら、筋肉の量だけですべてが決まるというのはおかしいんですね。チーターなど野生動物はスリムな体型の者が多いですが糖尿病にはなりません。
また中年のおじさんより若くて運動が嫌いなほっそりした女の子たちの方が筋量は少ないと思いますが、おじさんのほうがずっと糖尿病になる確率が高いです。
もちろん、あまりにも筋肉が少なすぎるのは良くありません。ただし筋肉が多ければ多いほど良いとは限らないのです。
おじさんが女の子より筋肉量が多いにも関わらず糖尿病になりやすいのは、筋肉だけではなく内臓脂肪、とりわけ肝臓に脂肪が多くたまっていることと関係があるのでは?
よっしーは糖尿病で緊急入院する少し前から果物がやたら食べたくてたまりませんでした。脂質制限していても果糖を過剰摂取すれば脂肪肝になりやすく糖尿病になるのはよく知られたことですよね💦
よっしーはマッチョな体型は割と好きですが、見た目ではなく健康を第一に考えるのなら必ずしもゴリマッチョを目指す必要はないと思いますよ。
筋肉が多くても脂肪肝になっていれば確かに意味がないよな。
筋肉が少ないのに糖尿病にならない女の子たちは、脂肪肝ではないのよねきっと。
糖質制限しながら「ゴリマッチョ」にはなれるか?
上記の実験は、アスリートの男性たちを対象に行われたものです。いわば「使える筋肉」の持ち主たちです。
でも、そうではなくて、いわゆる「見た目ゴツいゴリマッチョ」な体型を糖質制限で作ることが出来るでしょうか?ゴリマッチョなのに心優しく温厚な男性ってステキだと思います♪
ゴリマッチョになるための食事は、基本的に「ガンガン食べて、体脂肪と筋肉を同時に増やしていく」みたいですね。
ボディビルダーは糖質とタンパク質をガンガン食べて、筋肥大のための筋トレをします。体脂肪を増やさずに筋肉だけを増やすのはビルダーでも至難の業です。それよりも、筋肉と脂肪を同時に増やしていくのが効率がいいんですよね。
とにかく、太る位の量をひたすら食べて筋トレして筋肉をつけるわけ。それで大会前にはめちゃくちゃ厳しい食事制限をして、体脂肪をそぎ落とすんだそうです。
そう考えると、糖質制限で「短期間でゴリマッチョになる」というのは難しいんじゃないかな…と思います…効率を考えると。
筋肉がついても糖尿病には良くないのでは??
短期間でゴリマッチョになるための食事は、糖尿病体質ではない人には問題がないかもしれないけど、もともと糖尿病体質の人には非常に良くないのではないかと思います。
だって、太るためにガンガン糖質を食べまくるんだもの。それで実際に体脂肪が増えていくと言うことは、かなりの量のインスリンを分泌しているということでしょう?まぁ、高度肥満の方はこれでも十分痩せるかもしれませんが。。
よっしーも若い頃は「どんなに食べても筋肉が消費してくれるから平気!」と称して、高強度の筋トレで追い込みまくった直後にジムの近くの回転寿司食べ放題に行ったりしましたけど、ああいうのが良くなかったんだろうなと思います。
ちなみに焼き肉は、高脂肪食なので良くないと思ってました。もっぱらお寿司でした。でも今思えば、焼き肉と焼酎好きの同い年の同僚は、胸が大きくて腹筋がうっすら割れてた…
その後妊娠したとたんに妊娠糖尿病になっちゃいました…お菓子もジュースもとらず、仕事は立ち仕事。妊娠中太りすぎたわけでもありません。
アントニオ猪木さんは現役時代から糖尿病だったそうですが、筋トレ好きの清原和博さんももしかしたらまだ現役だったころからちょっとずつ耐糖能が悪化していたのかもしれないですね。
だって血糖値900って、2型ではちょっと信じられない位悪い数値ですもん。筋肉は血糖を消費するとはいえ、その量にはいくらなんでも限度があります。
筋トレそのものは良いことでも「筋肉のためにしっかり糖質を摂取しなきゃ」と思うと人によってはかえってよくないのかもしれません。糖尿病体質ではない人の場合は問題にならないでしょうが。
筋肉を付ければそれでいいわけじゃない
北島達也氏のように、糖質制限を取り入れていてもこんなにすごい体を作り上げることに成功した方もいらっしゃいます。
でも、成功するには相当な知識と努力が必要だと思います。一般人には、なかなかマネできるものではないかもしれませんね。
何より、見た目かっこいい肉体を作り上げることと糖尿病を予防改善することは、共通点もありますが何もかも同じわけではありません。
父が糖尿病でも、筋肉さえつければ糖尿病にはならないだろうと思っていたよっしーが失敗してしまったのは、とにかく筋肉をつけることしか考慮していなかったことによるものだったと思います。
アミノ酸飲料には糖質が含まれていましたし、玄米にも全粒粉パンや全粒粉パスタにもジャガイモにも、しっかりと糖質が含まれていました。
糖尿病患者の場合、少しでも合併症があれば運動の内容や強度には制限がかかります。どうか皆さん、運動を始める前にきちんとチェックを受けてから始めるようにしてください。
特にHbA1cが10%を超えたことがある方は、自覚症状が無くても何らかの糖尿病合併症がすでに出ている可能性が非常に高いと思います。心臓や神経障害の詳しい検査を受けたほうがいいです。
安全に注意して運動し、効果を過信さえしなければ、きっと運動は良い効果をもたらしてくれるでしょう。
糖尿病の人は病気なんだから、運動を行う時も安全に気を付けて行って欲しいね。
健康な人と同じように行ってはいけないわ。合併症のある方は特に注意して行いましょうね。