「末期の糖尿病」ってどんな状態なの?
よく「糖尿病で痩せてきたらもう末期だ」なんて言われますよね。ひと昔前は「2型糖尿病でインスリンを打つようになったらもうダメだ」なんて言われていたようです。
「末期の糖尿病」とはいったいどのような状態を指すのでしょうか?血糖値やHbA1cの数値がとても高いと末期の糖尿病でしょうか?実は必ずしもそうではないのです。
たまたま会社の健康診断の2~3か月ぐらい前から清涼飲料水を飲みすぎるなどの不摂生により、軽度の糖尿病患者が短期間で急激にHbA1cと血糖値が上昇することがあります。
これがいわゆる「ペットボトル症候群」です。HbA1cは10%を超えるのでとてもヤバい状態に思えますが、治療後は糖尿病が寛解することもあるんですって。
「清涼飲料水の飲みすぎ」という明らかな原因があって短期間で急激に血糖値が上昇するので、すい臓のβ細胞は弱っているだけでまだあまり死んではいないからです。
一方、発症してからの期間が長くなり血糖コントロールが良くないと、いろいろな糖尿病合併症が出てきます。
末期の糖尿病とは血糖値が高いことではなく、「糖尿病合併症がかなり進行している状態」を指すのではないでしょうか。
血糖値やHbA1cがとても高い数値でも、糖尿病合併症がまだ皆無の場合は短期間で急激に高血糖になったのかもしれません。
HbA1cや血糖値がうんと高くても、短期間でそうなった人は改善することがあるんだね。
発症してから放置してしまった期間が長いほど合併症のリスクが高くなるわ。
糖尿病合併症はどのぐらいの期間で出てくるの?
では糖尿病を発症してからどれぐらいの期間治療せずに放置してしまうといろいろな糖尿病合併症が出てくるのでしょうか?
下の図は東京都荒川区様のサイトからお借りしました。私はすでに腎症も発症していますから、次男を産んだときには妊娠糖尿病というより糖尿病合併妊娠だったのかもしれません。
糖尿病神経障害が進行すると、痛みを感じなくなることもあります。また低血糖になっても自覚症状が出ないことがあるので非常に危険です。
糖尿病網膜症が進行すると、硝子体出血や網膜剥離を起こし、最終的に失明してしまいます。また糖尿病患者は白内障や緑内障などの目の病気にもなりやすいのです。
糖尿病腎症が進行すると腎臓の機能が低下して、最終的には人工透析を行わなければいけなくなります。人工透析は時間もかかり、大きな負担となってしまいます。
そして神経障害・血管障害・感染症などから足がくさってしまい、切断しなければいけなくなることもあります。
現在日本では年間に3000名が糖尿病から視力を失い、16000名が糖尿病から新たに人工透析を始め、3000名の足が糖尿病が原因で切断されています。
きちんとご飯を食べているのに痩せてくるというのも良くないことです。インスリンがあまり出なくなってしまうと、血糖値は高くても体がそれをエネルギーとして利用できなくなります。
末期の糖尿病合併症にならないために何が出来るの?
みなさんは「そんな悲惨な末期の糖尿病合併症になるのは、きちんと糖尿病の治療をしないで好き勝手な生活をした人だけだ」と思われるかもしれません。
確かにそういう方はそうなる確率が高いかもしれません。しかしきちんと医師の言うとおりに真面目に治療を受けていた方でも失明や人工透析に至った方は何人も知っています。
中には、糖尿病専門医でありながら自分の糖尿病網膜症が重症になってしまい、「何とかしてくれ~」と同級生である眼科医のもとに駆け込んだ医師もいます。
糖尿病の治療を放棄することが良くないのは言うまでもありませんけど、きちんと治療しても必ずしも良くなるものではないということを知っておいてください。
一般的には、血糖コントロールで治る可能性があるのは初期の糖尿病合併症だけで、ある程度進行してしまうともう何をどう頑張っても進行は止められないとされています。
しかし糖尿病腎症3期(タンパク尿が出る段階)までなら糖質制限で完全に回復した方もいらっしゃいます。網膜症の黄斑浮腫や自律神経障害が自然治癒した方の話もたくさん聞きました。
過去のことはもうどうしようもない、今から出来ることを!
残念ながら、どんな治療法をもってしても糖尿病合併症がある程度以上進行してしまったら「完治」は難しい場合が多いです。
ただし種類と状況によっては、それ以上の糖尿病合併症の進行を止めることは可能だと思います。※必ずというわけではありません
糖尿病内科の主治医の言う通りにしていても、必ずしも糖尿病合併症の進行を止めることができるとは限りません、さきほど紹介した医師の網膜症の例を考えても。
過去の食生活や糖尿病治療のことを今さら後悔してもどうしようもないので、今から自分にできることを一生懸命やっていくしかないんですよね。
私は5年5半前に糖尿病性ケトアシドーシスで入院しましたが、当時は安静時心拍数が120もあり、右目が眼振し、尿タンパク3+や潜血2+が出ており、足の指もしびれて最悪の状態でした。
でも今でもこうやって生きて毎日ブログを書くことができています。腎症や網膜症は多少の波はあるものの、進行することもなく何とか踏みとどまっています。
この記事を読んでくださっているまだ軽度の糖尿病のみなさんは、糖尿病という病気を甘く見ないでください。重度の方たちも決して諦めないでください。
糖尿病になりやすい体質を持って生まれてきたのは運命だったのでしょうけど、ずるずると糖尿病合併症が進行していくことまで運命だと諦めるつもりはありません♪
そうだよ、諦めたらそこでおしまいなんだよ。正しい努力はきっといい結果につながるんだニャア。
過去のことを悔やんでもしょうがないので、今からできることをしなければね。