ポンコツと呼ばないで~ベータ細胞は頑張ってます~

ポンコツと呼ばないで

一生懸命頑張っているのに「ポンコツ」呼ばわりですか?

私が5年半前に糖尿病性ケトアシドーシスで入院した時のことです。4人部屋の中には糖尿病ではない方たちもいらっしゃいました。

もちろんみなさんどこか悪くて入院なさっているんですけど、80代のおばあちゃんが血糖値は何ともなくて毎日おやつを召し上がっているのを見て、正直「私はまだ(当時)30代なのに、すい臓は80代の方よりずっとポンコツなんだわ」と思ってしまいました。

また「私の耐糖能はポンコツだから~」などとみなさん「ポンコツ」という言葉はよく使っていらっしゃいますよね。

でも最近思うんですが、「ポンコツ」って役立たず、ダメなやつ、使えないやつ…そういう悪いイメージしかない言葉ですよね?

 

ベータ細胞の叫び、ポンコツと呼ばないでという内容のマンガ

「私は糖尿病で耐糖能があまり良くないので」と「私のすい臓ポンコツだから~」は同じようなことを言っているようで、言葉から受ける印象はけっこう違うような気がします。

自分より多めに食べても大丈夫な方が「私はポンコツ」と言っていたら、たとえ自虐的なセリフだとしても「そうか…じゃあ俺はもっとポンコツでダメダメってわけだな」と感じる方もいるかも。

それに何より、2型糖尿病患者のインスリンの分泌能力が悪かったりする体質は遺伝子と深くかかわっていることが多いです。

平均的な人たちと比べてベータ細胞の能力がちょっとばかり劣っているからといって「ポンコツ!」と言ってしまうのはどうなのかなと。

 



 

生まれつきお酒が飲めない体質の方はポンコツでしょうか?タバコを吸ったことがない方は、吸う方から見ればポンコツですか?アレルギーは?

「糖質を処理する能力がちょっとばかり弱い」ことをそこまで強く非難しなくてもいいじゃないか…と思ってみたり。

アニメ『はたらく細胞』を観て、「ああ、今まで本当に悪いことをしてしまったなぁ…知らなかったとはいえ」と思ってしまいました。

平均的な人にとっては何でもない量の仕事も、私のすい臓のベータ細胞たちにとってはかなりの負担になっていたんじゃないかなと。以前描いた下のマンガも併せてお読みください。

 

すい臓のβ細胞たちを擬人化した漫画

 

 

まじめん
まじめん

ポンコツっていうのは、悪い意味しかない言葉ですよね。

よっしー
よっしー

そうなのよ。マンガのようにベータ細胞ちゃんたちは悲しい気持ちになっているかもしれないわ…

食後に運動もしますが限界があります…

「食べても食後に運動をすればいいじゃないか」と思われるかもしれません。私は1日おきにジョギングと全身の筋トレを行っていますが、運動をすれば血糖値の上昇を完璧に抑えられるわけではなく、限界というものがあります。

いくら筋肉を付けようが、食後に運動しようが「その人が食べても大丈夫な糖質の限界量」を超えればその分血糖値は上がってしまいます。

運動なら一般人よりもかなりたくさん行っていたアントニオ猪木さんや筋トレ好きの清原和博さんは重い2型糖尿病でインスリン注射をなさっていますよね。

 

筋トレでインスリンを分泌するための糖質(炭水化物)は必要ない その1
筋トレの後に筋肉を増量するのにプロテインを飲んでいる人も多いかと思います。その際、筋肉の増量にはインスリンが必…

 

私は独身の頃、普通の人の何倍も激しい長時間の運動を行っていましたが、妊娠して「普通程度」にしか運動できなくなったら妊娠糖尿病になりました。

現実問題として妊婦や中高年になっても当時と同じだけの運動をしないと血糖値を維持できないなんてとても無理な話です、私の場合はね。まったく運動しないのに糖尿病とは無縁の方もたくさんいますよね…友達にもいますが、羨ましいです!

糖尿病合併症もあるので無理はしないし過信もしないけれど、今でも運動は継続しています。それで血糖値を下げきれない量の糖質は食べません。

 

ベータ細胞はすでに十分すぎるほど頑張っています!!

その能力に多少の個人差はあるかもしれませんが、すい臓のベータ細胞はいつも一生懸命働いています。

その能力を超える量の仕事をずっとやらせていると、最初は頑張って仕事の効率を上げようとするそうです。

でも、そうしているうちにだんだん疲れてきて、とうとう過労死してしまいます。2型糖尿病と診断された時点でベータ細胞はある程度は死んでいます。

最近では「ベータ細胞はまた増える」と言われていますが、それならなおさら生き残ったベータ細胞たちを過労にさせるわけにはいきませんよね?休養させてやらないと。




また食事とは関係なく24時間少しずつインスリンは出ていますし、何も食べないわけじゃないので糖質を減らしても食後にまったくインスリンを出さないわけでもなく、したがってベータ細胞が「仕事を忘れる」わけではないでしょう?

いつも一生懸命働いてくれているベータ細胞を「ポンコツ」と罵ってみても何もいいことはないかと。それよりも、なるべくベータ細胞への負担を減らすことを考えてみては?

できる範囲で運動をして、食事を改善して、それでもどうしてもだめなら必要に応じて薬を飲むなどしていけばいいんじゃないでしょうか。

 

ベータ細胞をポンコツだと怒るより、今のベータ細胞でもやっていけるような生活を!

 

まじめん
まじめん

ムチ打ってもっと仕事をやらせようとするか、きちんとこなせる量の仕事を与えるか…の違いですかね。

よっしー
よっしー

そうね。仕事を減らすことは決して「甘やかす」ことではないと思うわ。過労死するまで無理をさせなくても…

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