糖尿病でもなんでも食べてオッケー?
「糖尿病だからといって食べてはいけないものがあるわけではありません、食べ過ぎはいけませんが、あくまでもバランスと量が大事なのです」とよく言われます。
何となくもっともらしい気がしますが、管理栄養士さんが考えた完璧なバランス・量のはずの病院食「だけ」を食べて血糖値が爆上がりする患者がたくさんいるのはなぜでしょうか?
以前糖尿病専門医の先生数人にこっそり質問してみたのですが「糖尿病教育入院ですぐ血糖値が下がる人もいるけど、下がらない人もいるよ」とのお返事でした。
「食べ過ぎはいけませんが、あくまでもバランスと量が大事なのです」という言葉は「普通程度の量であれば何を食べても大きな問題は起こりません」と受け取れます。
たとえば「まんじゅう1個」「タピオカ1杯」などは健康な方にとっては普通の量でしょうが、糖尿病患者にとってこの量が何も問題を起こさないと言えるでしょうか。
糖尿病でもこのぐらいの量であれば特に問題ない人もいるかもしれませんけど、半量でも結構やばい!という人もいるのではないでしょうか…
誰もが病院食みたいな食事だけで正常血糖値になるなら苦労しませんね…
そうでしょう?「病院食と運動でダメなら薬を飲むかインスリンを打てばいいじゃない」ってことになるんだろうけど…
あまりにも少量すぎると食べた気がしない!
確かに、たとえ糖尿病患者であっても「ごく少量食べただけで即死する」というような食品はありません。
そういう意味では確かに「糖尿病だからといって食べてはいけないものがあるわけではない」というのは正しいと言えるかもしれません。
でも、糖尿病患者といっても個人差があり、Aさんは寿司4貫ぐらいならセーフでもBさんは1貫でも結構上がる…としたら?
4貫食べればそこそこ満足できるでしょうけど、1貫でやめておけ!と言われるのは結構辛いものですし、「じゃあインスリンを打てばよいじゃないの」と簡単には言えないでしょう。
また血糖値に言及せず「太らない程度なら糖尿病でもお菓子を食べてもいいんじゃないの?」と考える医師もいらっしゃるようですが、もともとかなり痩せているのに糖尿病になった人も知っています…太る太らないだけの問題ではないと思うのですが💦
「早食いするからいけないんです、野菜から先によく噛んで食べることが大事です」と言われたって、そうしても血糖値が爆上がりする人は困ってしまいます。
食べていいもの・いけないものは人によって異なる?
同じ2型糖尿病といってもいろいろあるわけなので、「決められたカロリーの範囲内でバランスよく食べましょう」と言われても上手くいかない人もいます。
私の父は昔、糖尿病と診断されてジムに通って筋トレや水泳に励んでいましたが、カロリー制限をしても血糖コントロールが「優」までは下がらず、すでに痩せすぎてしまったのに医師から「もっと食事を制限しなさい」と言われて困り果てておりました。
今思うと、父は他の人と比べて特別食べ過ぎていたわけでも太りすぎていたわけでもなく…それなのに糖尿病になったということは、ちょっとばかり全体的なカロリーを抑えても劇的な効果は期待しにくいんじゃないでしょうか?
糖尿病教育入院するだけで薬やインスリンを使わずにすんなり血糖値が下がる方はいらっしゃると思いますし、それまで全然運動していなかった方がジムに通い始めて劇的に血糖値が下がることもあるかも。
しかし、すべての糖尿病患者が同じ食事で同じ運動で同じように効果が出るわけではないので…それまでの生活との「差」が大きければ大きいほど劇的な効果が出るのかもしれませんね。
「絶対に食べてはいけない食品があるわけではない」と言っても、やっぱり人によってはかなり控えたほうがいい食品もありますし、すべての患者を一律同じやり方で何とかしようというのはかなり無理があるんじゃないでしょうか。
2型糖尿病患者にとってインスリンを打つか打たないかは重大な問題だから、食事方法に選択肢があればいいですよね。
そうよ、患者の気持ちになって考えてほしいの。