運動療法を行う前に糖質をわざわざ摂取する必要はなさそうです

運動する前には糖質を食べないといけないの?

ふだん糖質の摂取量に気を付けている糖尿病患者さんの中にも「筋トレする時だけは糖質が必要だから」などとおっしゃって甘いものを食べている方を時々見かけます。

確かに、よっしーが若い頃は「カーボローディング」と言って、スポーツの試合前などに糖質をたくさん食べて筋肉にたくさんのグリコーゲンを蓄えるのが良しとされていました。

だから「糖質制限をしていると筋グリコーゲンが減ってチカラを発揮できないのでは??」と何となくイメージで思いませんか?

結論を先に書いてしまうと、素人がちょっとジムで運動しています程度なら運動前にわざわざ糖質を摂取する必要は全くないんじゃないかと思います。

↑筋トレをするためにドーナツを食べるおじさま(;^ω^)

よっしーはきっちり糖質制限していても、ジョギングしたり中強度の筋トレぐらいではまったく何ともありません。高強度の筋トレをやめたのは、糖尿病合併症を悪化させるからです。

よっしーの夫は昔は10kmぐらいしか走れませんでしたが、糖質制限を始めてからフルマラソンを完走できるようになりました。カーボローディングはしていません。

それでもやっぱり不安だと言う方のために、今回はアメリカでアスリートを対象に行われた研究を紹介することにしますね。

にゃご
アスリートはハードな運動をしているから、糖質もしっかり食べているってイメージがあるんだけど…

よっしー
ところが最近はそういう人ばかりではないのよ。糖質制限をしている方も増えてきたわ!

アスリートが糖質制限食でも何の問題も無かった!

実験は、アメリカで行われました。50km以上を走るスーパーマラソンやトライアスロンの21~45歳の男性選手で、大会の決勝の上位10%に入ったエリート選手に依頼して実験を行うことにしたそうです。

それだけの成績を上げているアスリートですから、当然私たち素人よりも筋肉量は多いでしょうし、多くの糖質を必要としているようなイメージがありますね。

選手たちを、普段糖質をしっかり(糖質エネルギー比55%以上)摂っている人とケトン食(かなりハードな糖質制限)を行っている人に分けたそうです。

Metabolic characteristics of keto-adapted ultra-endurance runners. - PubMed ...
Metabolism. 2016 Mar;65(3):100-10. doi: 10.1016/j.metabol.2015.10.028. Epub 2015 Nov 2. Research Support, Non-U.S. Gov't

そしてそれぞれのグループで普段の食事と似たようなPFCバランスのシェイクを飲んでもらい、運動させ、運動後にもそれと同じシェイクを飲ませるという実験です。

ちなみに普段の食事の糖質量の平均は、糖質をしっかり摂取しているグループで1日あたり糖質486±128g、ケトン食のグループでは82±62gだったそうです!

総摂取カロリーが多いアスリートだけあって、糖質量もかなりのものですね。ただし糖質からのエネルギー摂取比率で見ると、私たちとそう変わりません。

それで、最大酸素摂取量の65%の強度で3時間(!)トレッドミルで走ってもらった時の筋グリコーゲンの変化がこちらです。下のグラフはメディカルトリビューン様のサイトからお借りしました。

HC群は糖質をたっぷり摂取しているグループで、LC群はケトン食のグループです。意外なことに、糖質を摂っても摂らなくても運動中も運動後も筋グリコーゲンの量は差がないのです。

体重65kgの方が3時間マラソンで走った場合、消費するカロリーは約2661kcalの計算になりますが…時速8km程度でゆるっと走ったとしても1699kcalぐらい消費します。

それだけ大量にエネルギーを使う運動ですら、糖質を摂取しなくても別に問題は無いということですね!しかも彼らはアスリート。私たちのような素人は、まして…

ケトン食をしていても筋肉はちゃんとついています♪

「糖質をきちんと摂取しないと筋肉が落ちてガリガリのモヤシ体型になるんじゃないのか?」と心配な方に朗報です。

下の表は、上の実験に参加した被験者たちの身体データです。メディカルトリビューン様のサイトからお借りしました。

HC群(糖質しっかり摂取)と比べても、LC群(ケトン食)ではむしろ体脂肪率が低くてしっかり筋肉があることがお分かりいただけるかと思います。

それに表の下の方を見ると、ケトン食のグループでは体力もしっかりとあることが分かりますよね。ケトン食とは、かなりきっちりした糖質制限です。

この被験者たちは、HC群は全エネルギーの59.1±10.2%を糖質から摂取しており、LC群では10.4±4.9%を糖質から摂取していたそうです。

糖質エネルギー比率59.1%というのは、日本糖尿病学会が推奨しているバランスとほぼ同じですね。そして10.4%というのは、1日2000kcal摂取する人なら糖質52gしか摂取しないことになります。

糖質たっぷりだろうと糖質制限食だろうと、エネルギーやタンパク質が足りないといくら運動しても筋肉は減っていくでしょうね。

糖質制限そのものが筋肉を減らすなどということはなく、「きちんと糖質制限しているつもり」で実はタンパク質や脂質を十分に摂取できていない人がそうなるのではありませんか?

糖質制限をしていると一部のアミノ酸は糖新生に回されるので、通常よりも多めにタンパク質を摂取する必要があります。動物性タンパク質はムダなく効率よく利用されやすいです。

運動後だからと言って好きなだけ糖質を食べてもいいわけではない

今回の実験で、被験者たちは日頃からよく運動しているアスリートで3時間も走行した直後にもかかわらず、シェイクを飲んだ後は血糖を下げるためにインスリンが分泌されたそうです。

下の図はメディカルトリビューン様のサイトからお借りしました。運動直後に糖質多めのシェイクを飲んだグループでは血糖値が1mmol/lぐらい(約18mg/dlほど)上昇してインスリンも多く分泌されています。

よく「運動した後なら、糖質を摂取してもグリコーゲンの補充に使われるから血糖値は上がらないので大丈夫♪」なんて言いますけど、アスリートが3時間も走った後でもこうなのです。

だから、アスリートほどハードに運動しているわけでもない一般人、それも糖尿病患者が「運動したから大丈夫、大丈夫」などと言って必要以上に糖質を摂取すると危険かもしれませんよ。

重量挙げなど、確かに糖質を摂取したほうがいいかもしれない…というスポーツはあります。でも彼らは競技のためにそうしているのであって、そのようなスポーツが糖尿病患者の健康に必要だとは特に思いません。したがって関係ありません。

運動そのものは、安全に気を付けて行えば血糖値の改善にもダイエットにも役立ちますし、骨を丈夫にしたリ、有酸素運動には血管をしなやかにする効果もあります。

ただし「運動のために糖質が必要だから~」などと言い出すと、かえって良くない方向に行ってしまうことも…若い頃のよっしーはこのパターンだったのかもしれませんね。

うっかり甘いものを食べ過ぎてしまったので血糖値の上昇を抑えるために運動しよう!というのは良いことですが、あえて運動をするために必要もないのに糖質をブチ込むのは良くないかもしれないので、気をつけましょうね!

にゃご
運動そのものは適度に行えば健康にいいけれど、そのためにわざわざ意図的に糖質を摂取しなくてもいいってことだね。

よっしー
そういうことね!アスリートですらほとんど必要ないことを、大した運動もしない一般人が行う必要があるのかどうか考えてみてほしいわね。

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