大河ドラマ「光る君へ」でも描かれた糖尿病

大河ドラマ「光る君へ」でも描かれた糖尿病

NHK大河ドラマ『光る君へ』が面白い!

私、NHK大河ドラマ『光る君へ』にすっかりハマってしまい、毎週楽しみに観ております。

恥ずかしながらこれまで大河ドラマは最初だけ観てすぐ飽きてしまい、途中で観るのをやめる…の繰り返し。でも今回ばかりはそんなことはなさそうです!

もともと『源氏物語』が大好きですし、作家としての紫式部に共感する点も多いですし。柄本佑さん演じる藤原道長もステキですね♪吉高由里子さんのまひろ(紫式部)もすっごく可愛い!

 

大河ドラマ「光る君へ」
【NHK公式】大河ドラマ「光る君へ」(2024年)。主人公は紫式部(吉高由里子)。 平安時代に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた女性。彼女は藤原道長(柄本佑)への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で、光源氏=光る...

 

さて藤原道長が中年になってから「飲水病(糖尿病)」に悩まされたことはかなり有名なのでこのブログを読んでくださっている皆様は先刻ご承知かもしれません。

当時の藤原道長たち貴族の食事の写真を見て「こんなに豪華なものを食べてロクに運動もしなかったんだから糖尿病になるのは当たり前だ!」とおっしゃる方も多いでしょう。

しかし、その言葉には「2型糖尿病になる人は生活習慣があまりにひどいから自業自得なのだ」という意識が見えます…それでは藤原道長があまりに気の毒ではありませんか。

 

にゃご
にゃご

えええ!藤原道長さんがなんだか可哀想だニャア…

よっしー
よっしー

他の貴族の方たちはなぜ糖尿病にならなかったのかしら?

藤原一族に糖尿病患者が多数居た理由は?

藤原道長が糖尿病だったのはかなり有名な話ですが、じつは道長だけではなく兄の道隆、伯父の伊尹、甥の伊周も糖尿病だったと考えられているそうです。

親族内で患者がたくさん出ていること、発症したと思われる時期が中年になってからと思われることなどを考えると、おそらく1型糖尿病やMODYではなく2型糖尿病なのでしょうね。

1型糖尿病の多くは遺伝しませんが、稀に発症しやすい体質が遺伝するケースもあるそうです。

一方、2型糖尿病になりやすい体質はかなり遺伝と関わりがあります。過去の疫学研究では2型糖尿病患者の兄弟では2~3倍、両親が2型糖尿病であるとその子供は3~4倍2型糖尿病を発症するとのことです。

 



 

しかも2型糖尿病の発症のしやすさに関わる遺伝子は1つではなくたくさんあり、日本人の場合はインスリン分泌不全になりやすい遺伝子が非常に強く関わっていることがわかっているそうです。

単に痩せれば良くなる欧米型の2型糖尿病と違い、日本人で糖尿病家系の場合はなかなか「寛解」に至らないケースも多いのはこれと関係があるかもしれませんね。

当時の貴族の食事内容やあまり運動しないでいい生活が糖尿病に良くなかったのは間違いないと思いますが、同じ生活をしている他の貴族は大丈夫なのに藤原一族に糖尿病患者が多く出た理由は体質の違いだと思います…また慢性的なストレスが良くなかったという話もありますね!

仕事のストレスが糖尿病リスクを45%上昇させる ストレス対処が必要|ニュース|糖尿病ネットワーク
国内外の糖尿病関連情報をスピーディーにお届けします。配信したニュースはテーマ別にまとめられ、患者さん、医療スタッフほか、どなたでも閲覧可能です。

 

藤原道隆は43歳で糖尿病が悪化して亡くなった?

昨夜4/28(日)放送の『光る君へ』第17話『うつろい』では、飲水病(糖尿病)と思われる症状に苦しむ藤原道隆が43歳で亡くなる描写がありました。

宮廷貴族社会の歴史を書いた「栄花物語」によると、43歳で亡くなった藤原道隆について「水を飲みきこしめし、いみじう細らせ給い」と書かれております。

たくさん水を飲んで体がやせ衰えていったというわけ。このような症状が出るのは通常、2型糖尿病を発症してからかなり時間が経ってからだと思われます…!

参考:私の場合↓

運動好きの私が糖尿病になった件について・運動好きの私が糖尿病になった件について by 漫画家・よっしーの作品
漫画家・よっしーのマンガ:運動好きの私が糖尿病になった件について 6年前にとんでもなく体調が悪化して緊急入院し、糖尿病と診断されました。16日間の入院生活をそのまま描いたノンフィクション闘病エッセイです。コミチは無料のWEBマンガが読み放題

 

道隆はお酒が大好きだったようですから、もしかしたらそれも糖尿病の悪化に拍車をかけたのかもしれませんね。当時のお酒は甘口であったようですし、脂肪肝は糖尿病に悪影響があります。

昨夜の放送では道隆が精神まで蝕まれていく様子が描かれていました。精神的な症状までが糖尿病のせいだったかどうかはわかりません。

しかし厚生労働省によれば糖尿病患者の30%がうつ症状を持ち13%が不安障害であるというデータもあり、糖尿病患者はそうでない方と比較すると精神疾患になりやすいのかもしれません…原因はともかく。

 



 

43歳で糖尿病が悪化して亡くなったと思われる藤原道隆が糖尿病を発症したのは30代でしょうか。

中年以降は男性のほうが糖尿病にかかる確率は高いんですけど、男性で30代までにかかる方は女性より少ないです。女性は私のように妊娠糖尿病から2型糖尿病へ移行する方がいらっしゃるからでしょうか。

ちなみに藤原道長は50代に入ってから糖尿病の自覚症状が出始め(発症は40代?)視力の低下(糖尿病網膜症?)などに苦しんだ末62歳で亡くなっています

 

私達が藤原一族から学ぶべきことは?

糖尿病で死ぬこともある

 

大河ドラマ『光る君へ』をご覧になってネットでちょっと調べて「糖尿病は怖いなぁ」と思われた方は多いでしょう。

でも「藤原一族は贅沢な食事をして運動しなかったから糖尿病になったんだ」で終わらせるのはちょっともったいない。

不摂生が糖尿病に良くないことは間違いないけれど、私のリアル知人の中には「え、どうしてあなたが境界型糖尿病(または妊娠糖尿病、2型糖尿病)なの?」と言いたくなるような方が何人も居て、例外なく親御さんのどちらかが糖尿病です。

2型糖尿病を発症しやすい体質そのものは(MODYもそうですが)現代の医学では今のところどうすることもできません。遺伝子を修正して「糖尿病を発症しにくい人」になることはできないのです。



だからそのような体質を持っていても糖尿病を発症しないような生活をするしかないのですが、世間一般で言われているような「健康的な生活」だけで十分な人もいればそうでない人もいるのです!

「私は健康に気をつけているから大丈夫」「この食材は糖尿病にいいとテレビでお医者さんが言ってた」こういう思い込みがあると、いつの間にか…ということにもなりかねません。

特に身内に糖尿病の患者さんがいらっしゃる方は決して「他人事」だと思わないことが大切ではないでしょうか。

 

にゃご
にゃご

そうだね、気をつけないと!

よっしー
よっしー

どうしようもないことを嘆くより、出来ることをしなくっちゃね!

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