OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)って何?
糖尿病または妊娠糖尿病が疑われる患者さんに対して行われる「OGTT(経口ブドウ糖負荷試験)」という検査を受けたことがある方も多いでしょう。
この検査は、朝食抜きで空腹状態で行います。まず空腹時血糖値を測定し、75gのブドウ糖を溶かしたサイダーのような飲み物を飲みます。
そして何度か血糖値を測定してどれぐらい上昇したかを調べ、1時間後と2時間後の血糖値から糖尿病の判定がなされます。
空腹時血糖値110未満かつ2時間後血糖値140未満が正常値ですが、1時間後血糖値が180を超えている人は将来糖尿病になりやすいと言われています。
空腹時血糖値126以上、または2時間後血糖値200以上であれば即・糖尿病と診断され、正常値でも糖尿病と診断される値でもない場合は境界型糖尿病と判定されます。
また妊娠糖尿病の場合は判定基準が異なり、「空腹時血糖値が92以上」「1時間後血糖値が180以上」「2時間後血糖値が153以上」のどれか1つでも当てはまると診断されます。
もう15年近くも昔のことですが、よっしーが20代半ばで長男を妊娠して初めて妊娠糖尿病と診断された時は空腹時110・1時間後184・2時間後146でした。条件を2つ満たしています💦
今回は糖尿病かどうか調べる検査のOGTTについていろいろ考えてみることにします。これから検査を受ける予定の方はぜひお読みください♪
OGTTは血糖値を爆上げさせる危険な検査です
OGTTは、わざわざ血糖値が上がりやすいもの(ブドウ糖が75gも入ったサイダー)を飲ませて血糖値を上げる検査です。
そのため、あくまでも糖尿病や妊娠糖尿病が疑われる患者に対して行う検査です。すでに糖尿病と確定している患者には危険なので原則として行ってはいけないと決められています。
よっしーが糖尿病性ケトアシドーシスで緊急入院した時は糖尿病未診断でしたが、OGTTは行われませんでした。
そんな検査をするまでもなく明らかに糖尿病と分かっていますし、糖尿病が確定している患者にOGTTを行えばとんでもない高血糖になり危険だからです💦
75gのブドウ糖と聞くと、ものすごーく大量だなと感じるかもしれません。でも実はそうでもないんですよ?
中学校の理科の授業で習った通り、ご飯やパン、うどん、いもなどに含まれるデンプンはまず体内で麦芽糖になり、ブドウ糖になって吸収されます。
ごはんを200gちょい食べれば、75gの糖質を摂取できます。コーラなら約650ccです。カレーライスならもっと簡単で、1杯で約124gの糖質を摂ることができます♪
…上のはもちろん皮肉なので真に受けないでいただきたいのですが、とにかく「糖尿病と確定している患者には血糖値が上がりすぎて危険なので行ってはいけない」とされるOGTTと同じか、それ以上に大量の糖質を摂取するのは容易だということです。
「でもブドウ糖は急激に血糖値を上げるけどご飯は違う!」と思う方もいらっしゃるでしょうね。よっしーも若い頃そう思っていたので、砂糖や清涼飲料水は避けつつ主食は普通に食べていました。
上のグラフは糖尿病ネットワーク様のサイトからお借りしました。確かにコーラは急激に血糖値を上げますが、下がる時もすんなり下がっているのが分かりますね?
糖質も脂質も多いポテトチップスでは、血糖値がピークになるまでは確かにゆっくりですが結局高血糖になる上、高めの血糖値がだらだらと続いてなかなか下がりません。
非常に残念ですが、多少血糖値のピークがゆるやかになっても結局、食べた糖質の分だけ血糖値は上がると考えたほうが良さそうですね💦
そして「白米はNGだけど玄米なら大丈夫そう」と思っている方が多いですが、2型糖尿病の江部康二医師は白米茶わん1杯で血糖値が240まで上がり、玄米だと220まで上がるそうです。
はっきり言って血糖値240も220も大して差が無いと思いませんか?よっしーも江部先生同様、若い頃からずっと玄米食をしていて糖尿病になったのでよく分かります…
必見!OGTTを受ける前に注意すべきこと
昨日Twitterでフォロワーさんから質問をいただいたのがこの記事を書くきっかけになったのですが、これからOGTTを受ける方には気を付けていただきたいことがあります。
それは「少なくとも検査の3日前からは糖質制限をしてはいけない」ということです。具体的に言うと、1食あたりの糖質を50g以下にしてはいけないんですって。
OGTTは体内に大量のブドウ糖が入ってきたときにそれをさくっと「処理」する能力がどれだけあるかを調べる検査です。
いつも書いていますが、ここでお酒に例えてちょっと考えてみてください。毎日3回も飲酒する人は、アルコールという毒物を常に体内に取り入れていることになります。
当然、肝臓も「コイツはいつも有害なアルコールを摂取しやがる。こっちも準備をしていないと危険だよな」と身構えた状態です。
でも1年とかそれ以上まったく飲酒していなかった人が久しぶりに飲酒すると、きっと少量ですぐに酔ってしまうでしょう。また飲酒を再開すると、以前のようにそう簡単には酔わなくなるでしょう。
ずっと飲酒していなかった人は、肝臓が「アルコールという毒に対して警戒する必要がない状態」だったわけです。だから突然大量にアルコールが入ってくるとビックリしてしまうわけ。
OGTTもこれと同じで、「ふだん1日何度も大量に糖質を摂取していてすい臓が身構えている状態」の人を前提とした検査なので、糖質制限している人が受けるとめちゃくちゃ高い数値が出ることがあります。
しかしそれは糖尿病になったということではありません。その証拠に、3日間糖質を摂取して臨めば正しい結果が出るではありませんか。不可逆的な変化ではないんですね。
OGTTという検査をパスするために糖質を大量に摂取するというのもなんだか本末転倒な気がしますけど、つまりそういうことです。
私たちの健康にとって大事なのは、日頃からムダに血糖値を上げたり必要以上にインスリンを大量に分泌しないことです。決して「OGTTにパスすること」ではないのですから。
OGTTで異常がなく糖尿病と診断されなくても、日常的に糖質を過剰摂取することによって他の病気になる方は山ほどいらっしゃいますし。
とはいえOGTTで引っかかってしまうと色々と面倒なことになりますので、これからOGTTを受ける方はほんの数日間だけと割り切って糖質を摂取するといいですね♪