血糖値の乱高下は良くないとみんな知っているのに…
Freestyleリブレの普及もあり、糖尿病患者が血糖値の変動を把握することの重要性は以前よりも広く知られてきていると思います。
医療関係者の方のブログにも「HbA1cだけでは空腹時血糖値や食後の血糖値の把握ができないから血糖測定は大事です」「隠れた血糖変動がないかを把握するためにリブレは役に立ちます」などと書かれています。
でもね、せっかくすごく良いことをおっしゃっているのに「じゃあ血糖値の乱高下を防ぐために糖質に気をつけましょう」とはならないんですよね、これが…
「砂糖は体に良くないかもしれませんが、炭水化物は体に必要なものなので悪者扱いしないでご飯をきちんと食べましょう」なんておっしゃる方がほとんどです。
よっしーが先日糖尿病内科に行った時、待合室で他の患者さん数人と看護師さんが会話しているのが丸聞こえでした。
その方は70歳ぐらいの2型糖尿病患者さんで、看護師さんいわく「これ以上たくさん打てない」という量のトレシーバを注射なさっていて空腹時血糖値は良好だそうです。
でもその方がリブレを使ってみたら毎食後、かなり血糖値が上がっているのでどうしたらいいですかと尋ねると、看護師さんは「薬を飲んで運動すればいいのよ~」と。
よく分かりませんけど、基礎分泌インスリンもすでにかなり不足している患者にインスリンの分泌を促すような薬を飲ませて食後高血糖を十分に抑えられるんでしょうか…
インスリン注射では低血糖は避けきれない!
糖尿病患者の血糖値が食事のたびに乱高下していることが分かったら、その後どうするか方法はいくつかあると思います。
糖質制限をして血糖値が上がりすぎないようにする方法と、糖質はしっかり食べながら薬・インスリン注射・運動などで血糖値を下げる方法です。
糖質制限はそもそもムダに血糖値を上げない食事方法なので、健康なら薬やインスリン注射のように「うっかり効きすぎて低血糖に陥る」可能性は非常に低いです。
約5万人の2型糖尿病患者を調査した結果、インスリン注射やSU薬を使用している患者や複数の薬を使用している患者、HbA1cが6%未満の患者で重症の低血糖のリスクが高かったそうです。
糖質制限をきっちり実践している糖尿病患者は、全体で見ればまだまだ少数派です。ほとんどの患者は普通に糖質を摂取しながら薬やインスリンや運動で血糖値を下げます。
糖質を食べながらHbA1cを低く保とうとすると、どうしても低血糖は避けられないということじゃないでしょうか…
インスリン注射をしている方は、よく低血糖を起こします。1型糖尿病の方だけの問題ではなく、2型や妊娠糖尿病の方でも決して稀なことではないんですよ。
バーンスタイン医師のように1型糖尿病でも糖質制限している方は、痩せたいからそうしているのではなく、なるべく血糖値の乱高下を減らしてインスリンの害を受けたくないからなんです。
病院で働いてるからと言って糖尿病の本質が見えるとは限らない
全ての方がそうとは言いませんが「私は糖尿病内科で働いています」「糖尿病療養指導士です」「糖尿病専門医です」などとおっしゃる方の中には、頑としてマニュアル以外のことを認めない方もいらっしゃいますね。
口調は穏やかに見えても「糖質制限は危険です~(根拠はよく分からない)」「炭水化物は抜かずに選択しましょう~」というのがありありと伝わってきます。
白米を玄米だの麦飯だのにチェンジして散歩するだけでなんとかなる方たちはそりゃいいんですよ。でも問題は、そうではない方もたくさんいるということです。
江部康二医師は茶わん1杯の白米を食べると血糖値は240ぐらいまで上がり、玄米だと220ぐらいだそうですが、このたった20の差がどれほどの意味を持つのでしょうか?
日頃、糖尿病内科でたくさんの患者さんたちと接していても教科書に書いてあることしか言えない方もいますし、そうではない方もいらっしゃいます。
元・糖尿病内科勤務の看護師さんのsoyoさんは少しも肥満ではありませんでしたが以前からHbA1cが正常範囲内で高めだったのだそうです。
それである時思い切ってOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を受けたところ、ピークが261もあってとてもショックを受け、糖質制限を開始されたんですって。
彼女は「糖尿病内科で患者さん相手に指導してたナースがこの若さにして糖尿病だなんて…」とすごいショックを受けられたそうですよ。
普通太ってなければちょっとばかりお菓子を食べても平気って思いますよね?彼女はスリムな体型で、空腹時血糖値は78とかでHbA1cも5%台だったそうです。
やはり、糖尿病患者さんと接しているからといって糖尿病のことがカンペキに理解できるとは限らないようです。soyoさんは自らの体験から学ばれました。素晴らしい方だと思います。
血糖値はいろいろな理由で乱高下するけれど…
血糖値が変動する理由は、食事だけではありません。糖尿病患者は特にそうですけど、明け方コルチゾールというホルモンが分泌されると何も食べないのに血糖値は上がってきます。
その他、過度の緊張やハードな運動などじつにさまざまな理由で血糖値は上がります。食事以外の理由で血糖値が上がるのは、ほぼコントロール不可能かもしれません。
でもね、「どうせ食事以外の理由でも血糖値は上がるんだから」と諦めるより、血糖値を乱高下させる要素は1つでも減らしたほうがいいと思いませんか?
食事だけのせいではないとは言え、やはり食事が血糖値に与える影響はかなり大きいですからね…。バーンスタイン医師なんて1型で自己分泌ゼロなのにHbA1cを4%台にキープされていて、ひたすら尊敬です💦
この記事を読んでくださっている医療関係者のみなさん、本音はともかくとしていろいろな大人の事情で「主食を食べましょう」と言わなきゃいけないのは分かります。
でもね、私たち患者ひとりひとりは自分の命がかかっているんです、真剣なんです。病院で指導された通りにしていたのに人工透析になった方も知っています。
「私は糖尿病内科で勤務しているから素人と違って正しい知識を持っているし糖尿病を知り尽くしている!」なんて思わないでください、お願いです。
あなた方が診ている患者さんたちは、みなさん白米を玄米にしてお薬を飲むだけでコントロール良好になり、合併症になった方はゼロなのですか?違いますよね?
もちろん中には、指導されたことを守らずにこっそりお菓子を食べまくっている患者もいるかもしれません。でも、そんな方ばかりではないですよ。
標準治療で良くならない方がたくさんいることを知っているからこそ、私たちは日々試行錯誤しているんです。そのことを理解して見守っていただけたらありがたいです。