「たけしの本当は怖い家庭の医学」はトラウマもの!?
昔、朝日放送で「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」というテレビ番組が放送されていたのを記憶している方は多いと思います。
中でも『本当は怖い早食い~蝕まれたスクリーン~』という回は当事者の私から見ても本当に恐ろしく、とても悲しい話でした。
夫婦で定食屋さんを営む35歳の男性は生まれてくる子供に会うのを楽しみにしていましたが、気づかぬうちに糖尿病になっており、子供が生まれる前に糖尿病網膜症から両目を失明してしまったという実話だそうです…あまりにも悲しすぎます。
この話がテレビで放送されたのはちょうど17年前でして、当時の私は長男が無事に生まれて産後に血糖値も正常値に戻っており安心していた頃でした。
この番組は「そのまま放っておくと大変なことになりますよ」というキャッチフレーズが怖いと有名で、そのため「恐怖を煽る」「トラウマになる」と感じていた方も少なくないのでは?
でもね、確かに怖い内容ではあるんですけど、「この症状はこういう病気かもしれないのか」と知っておくことで救われる人も必ずいると思うんです。
赤ちゃんの顔を見られなくなってしまったのがかわいそうで涙が出たよ。
あの方みたいな生活を送っている人は山ほどいるわよね。あまりにも気の毒すぎるわ!!!
危機感が足りないとどうなる?
糖尿病なのにまだ診断されていない方はもちろんのこと、すでに糖尿病と診断されていても眼科へはきちんと通っていない患者さんはかなりいらっしゃるのだそうです。
おそらく…糖尿病であってもまだそれほど怖い思いをなさったことがない方はそこまで危機感がないのではありませんか?
私は糖尿病と診断されて16日間の入院中に「強化インスリン療法」を受けたあとに左目に異変を感じたのでなんとなく怖くて早めに眼科を受診した結果、網膜症が発覚したわけですが。
なんでも恐怖を煽ればそれでいいというわけではありません…が「危機感が足りない」ために油断してしまい、眼科へ行かないというのは本当に怖いことだと思いますよ。
私も2か月ごとに眼科へ行くのは憂鬱なことではありますが、きちんと眼底や網膜の状態を診てもらっているので「ある日突然、大出血して視力を失う」なんてことになる可能性は限りなく低いわけですから。
知ったところで防ぎようのない病気もあるでしょうけど、糖尿病や糖尿病合併症に関しては知識があるのとまったくないのとではやはり大きく異なりますからね…
「ちょっと健康診断で引っかかったけど、血糖値が高い以外に自覚症状があるわけでもなし」という方が「親を糖尿病合併症で亡くしました」なんて方々と同じぐらい真剣になれないのはむしろ当然かも知れません。
「きちんと内科に通院して治療していれば問題ないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、真面目に頑張っていたのに合併症が進行してしまった方は何人も知っていますよ。
日本では年間3000名の方が糖尿病が原因で視力を失っているそうですけど、私はその方々がみんな治療をサボっていたとは思えないんですけど…
病気を怖いと思うことは大事だと思う
先に紹介したテレビ番組では、男性が早食いしていたせいで糖尿病になった、たとえ同じ量を食べても奥さんみたいにゆっくり食べていれば糖尿病にはならなかったのに、と表現していました。
正直これはちょっと言い過ぎではないかと感じました。もともとの体質による違いというものがあるので、100%本人に非があるかのような言い方はちょっと…
しかし、多少不適切な内容はあるにしても「糖尿病は怖い病気である」という意識を視聴者に持ってもらうことは大事だと思います。怖くてイヤだという方は観なければいいですし…
番組では男性が「左目でものを見ると歪んで見える」という症状があり「近視が悪化したのかな?」と思ってあまり深く考えなかったと語られますけど、知らないと大変なことになります!!
私は左目が黄斑浮腫で、初期の頃はスマホの正方形のアイコンも台形に見えたりしました…現在は見え方は正常に近くなっていますが、あのまま何も考えずに放置していたらと考えると恐ろしくなります。
その段階で眼科へ行けば、あの方は失明せずに済んだかもしれません。やはり、「このような症状は危険な病気の可能性がある」という知識や病気の恐ろしさを知ってもらうことはとても大事です。
そして「糖尿病なんてとにかくガンガン運動すればいいんだろ!?」程度の知識しかないと、すでに神経障害等ある場合非常に危険で、最悪の場合は運動中の突然死もありえます!!
やはり病気をナメてかからず、正しく恐れることは大事なのではないでしょうか。ただ怖いと思うだけではしょうがないですけど、決して甘く見てはいけない病気なのですから。
糖尿病を他人事とは思わないことが大事だよ!
家族に患者さんがいらっしゃる方は特に気をつけましょうね。