カロリー制限だけでは困る患者がたくさんいます！
京都医療センターなどの研究グループが、糖尿病の食事療法を最適に個別化できるシミュレーションモデルを開発したそうです。
体重とHbA1cの変化を個別に予測し、その患者さんには糖質制限ダイエットが向いているか脂質制限ダイエットが向いているかを予測することができるんですって！
「医師や管理栄養士が、患者の目標に応じて個別の栄養戦略を最適化するのに役立つ可能性がある」と研究者。
従来の糖尿病食はカロリー制限食ですが、いろいろな意味でこの方法がうまくいかない患者はたくさんいます。辛すぎて続かなかったり、血糖値が爆上がりしたり…だから糖尿病合併症が進行してしまう人は決して0にはなりません。
肥満に悩む糖尿病内科の医師ですら「揚げ物を我慢できない」と書いてらしたのを見かけたことがあります。自分ができないことを患者に指導できないと思いますし、これはなかなか由々しき問題ですよね！
私の主治医は「その人にとってやりやすい食事療法がいちばん良いのよ」とおっしゃっていました。さすがベテラン主治医！いろいろな患者さんを診てこられたからこその言葉ではないでしょうか。
ひとつの方法しか認めない、では困る人がいますよね。
患者に指導する側は、ひとつの方法だけのほうが楽だと思うけどね。
糖質と脂質のどちらかを制限するべき？
糖質制限と脂質制限は正反対の食事療法と思われがちですが、糖質と脂質を同時に大量摂取することが最も効率よく内臓脂肪を増やすので糖尿病にも良くないことは多くの方がご存知のはず。
ちなみに2型糖尿病患者の場合、タンパク質と糖質を同時に大量摂取するとかなり大量にインスリンが出ます。私のようにインスリン分泌不全がある患者は血糖値がかなり上がると思います！
しかしタンパク質で多少血糖値が上がるからと言って、タンパク質を制限し続けることはできません。
日本人の若い痩せ型女性は2型糖尿病リスクが高いそうですが、医師はニュース記事の中で「そのような女性の食生活は食事量が少なく割合は糖質に偏っておりタンパク質が不足していることが多い」と書いていらっしゃいます。運動不足に加えてタンパク質が足りないから筋肉がつきにくくなるのでしょう。
よく「カロリーのとりすぎが糖尿病に良くない」などと言われますけど、同じカロリーでもタンパク質・糖質・脂質の体内での代謝は違います。何がどう良くないのかを考えないといけませんよね。
タンパク質は大事なのできちんと摂取しなければいけません。これ以外に減らせるとしたら、糖質と脂質しかないわけです。
もっともヒトには「絶対に必要だが食事から摂取しなければいけない必須脂肪酸」というものが存在しますので、脂質摂取量を0にすることは絶対にできません。また容易に低血糖に陥る病気の方などは糖質制限ができません。
だから糖質と脂質をそれぞれどのぐらい摂取するかは、個別の検討が必要だと思います。誰もが同じ方法で同じようにうまくいくほど簡単な問題ではありません。
食事療法の選択肢が多いのは良いことのはず！
私の主治医（糖尿病専門医）のようにひとりひとりの患者に合わせて柔軟な対応をしてくださる医師も中にはいらっしゃいますけど、まだまだそうではない医師も多いようです。
やはりマニュアル通りに対応するほうが余計なことを勉強しなくていいですし、ラクですし、何かあったときに責任を追求されることもないですもんね。
でも、患者は違います。製薬会社主催のセミナーに出席するわけでもありませんし、純粋に自分の健康だけを考えることができます。
多くの方に効果的な方法でも、自分に合わなかったら自分にとっては意味がありません。みんなそれぞれ違うので…多数決で１つだけ選んで他はだめです、なんておかしいですもんね。
「患者にとっては」糖尿病食事療法の選択肢が多いことは良いことのはずです。どの食事療法も必ず合わない方、効果が十分ではない方がいらっしゃいます。
食事療法の選択肢が複数あれば、それだけ救われる患者が増えますよね！その人に最適な食事療法を選択できるようになれば、素晴らしいことですね。
早くそうなりますように。
いろいろな選択肢があっていいし、他を否定する必要もないわ！
