糖尿病患者は認知症のリスクが高い!
日本では1961年に発売開始され、60年近くの歴史がある糖尿病薬のメトホルミン(商品名メトグルコなど)。私もメトグルコを飲んでいます。
メトホルミンはインスリンの分泌を促進させることがない薬で、肝臓での糖新生をセーブしたり筋肉などの糖の利用を促したり腸からのブドウ糖の吸収を抑制することによって血糖値を改善します。
正直、そこまで劇的に血糖値が下がるとは実感できていないんですけど(特に腸からのブドウ糖の吸収抑制効果は全然わからないです)安価で私には副作用が出ないのでお守り感覚で飲んでいます。
さて、そのメトホルミンが高齢2型糖尿病患者の認知機能低下を抑制する可能性が報告されたそうです。
糖尿病患者は健康な人と比べるとアルツハイマー型認知症に約1.5倍なりやすく、脳血管性認知症に約2.5倍なりやすく、重症な低血糖が起きるとさらに認知症を引き起こすリスクが高くなると言われています。
福岡県久山町の調査によると、認知症のリスクが少ないのは大豆・大豆製品、野菜、藻類、牛乳・乳製品の摂取量が多く、米の摂取量が少ないという食事パターンの人だったそうです。認知症については大いに気になりますよね。
認知症って高齢になるとある程度仕方がないことだと思っていましたが…
加齢だけではないみたいね、どうやら。
メトホルミンが認知症のリスクを減らす理由は?
オーストラリアの高齢の糖尿病患者でメトホルミンを飲んでいる人と飲んでいない人を比較すると、飲んでいない人のほうが5.29倍も認知症を発症するリスクが高かったそうです。
5.29倍ってものすごい数字だと思うんですが…ではなぜ糖尿病薬の中でもメトホルミンにここまで認知症の発症リスクを下げる効果が期待できるのでしょうか?
他の糖尿病薬のデータを見ても、特にメトホルミンだけが劇的に血糖値を下げる効果があるというわけではないみたいです。だいたい、もしそうだとしたら他の薬を作る必要はなかったでしょう?
デンマークの大規模コホート研究(病気の要因と発症の関連を調べるための観察的研究)よれば、糖尿病薬ではメトホルミン、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬で認知症のリスクが減少したそうです。SU薬ではわずかにリスクが増加していました。
2型糖尿病患者のインスリン抵抗性がアルツハイマー型認知症のリスクを上げ、重症の低血糖が糖尿病患者(1型も2型も)の認知機能の低下のリスクを上げるようです。
「低血糖を起こしにくい薬であること」が「認知症のリスクを下げること」と関係があるのかな、と思ったりしますが、いかがでしょう?
「メトホルミンを長期服用するとビタミンB12が欠乏して認知症のリスクを上げるのではないか」という意見もあるそうです。確かにビタミンB12不足には気を付けたほうがよさそうです。
ビタミンB12は牡蠣などの魚介類やレバーに多く含まれますので、野菜ばかりに偏らずに肉や魚を意識的に食べたり必要に応じてビタミンB群のサプリメントで補うとよいですね。
メトホルミンの副作用に注意しましょう
メトホルミンは60年ぐらい前から使用されており、長期服用の安全性が確立されている糖尿病薬です。しかしどんな薬にも言えることですが、時には副作用が出てしまう場合もあります。
重度の肝機能障害や腎機能障害がある方、大量に飲酒する方、乳酸アシドーシスを起こしたことのある方などはメトホルミンは禁忌で、高齢者では慎重に判断しなければいけないそうです。
乳酸アシドーシスまではいかなくても、下痢や吐き気などの副作用が出てしまう方は割とたくさんいらっしゃるそうなので気を付けてくださいね。
そして言うまでもないですけど、漫画の甘味ダイスケくん(甘味大好き⇒甘味ダイスケです)のように「メトホルミン出してもらったからたくさん食べても平気平気!」ってことはないのです💦
その薬が必要かどうかは主治医とよく相談ですね!
誰にでも合うってわけじゃないから気を付けてね。