米・果物・芋は悪くない?
糖尿病専門医の山田悟医師の記事がYahoo!ニュースに載っていました。食後高血糖を防ぐために糖質の摂りすぎをやめようという内容です。
ところがコメント欄に「米や麦の食べ過ぎよりも店のケーキや甘い菓子、運動不足のほうが問題ではないか?」という旨の投稿が…
これ、一般的にはそのように考えられがちなんですよね。もちろん甘いお菓子や清涼飲料水などが糖尿病に良くないのは間違いないでしょうし、運動は適度にしたほうがいいと思います。
しかし「米や果物、芋などは自然のものだから問題ない!」というのは明らかに過信だと思います。
仮にそうなら私はなぜ糖尿病になったんだよと思いますし(お菓子や砂糖は控えていても、米・果物・芋が大好きでした!)病院食で血糖値が跳ね上がる患者さんが山ほどいらっしゃるのは言うまでもありません。
「米・果物・芋は悪くない!悪くないはず!」って本当に良く聞くんですけど、残念ながら糖尿病になりやすい体質を持つ者にとっては、これらの影響はかなり大きい場合があると言わざるを得ません…
数年前に、ただ茹でて塩をふっただけのさつまいも少量(輪切り2センチ程度の量?)で血糖値180を超えたことがあります…決して「大量に食べた」「砂糖をかけた」わけじゃないのですが。
たくさん食べてもわりと大丈夫な人もいるんだよな。だから問題がややこしくなっちゃう?
個人差があるので「お菓子とジュースさえやめればOK」と主張する人も当然いらっしゃるのね。問題は、他の人も同じとは限らないことよ!
現代の米・果物・芋は昔と同じ?違う?
お米は縄文時代後半から日本でも食べられるようになりましたが、最初は玄米の状態で食べられていたようです。
大和時代になると精米した状態で食べられるようになりましたが、当時のお米はまだ「古代米」と呼ばれるもので、現代の白米と同じようなお米は奈良時代以降の貴族階級の人たちが食べていたそうです。
江戸では庶民も白米を食べられるようになりましたが、その代わりに「脚気(かっけ)」に苦しむ人が増えました。地方に行くと治ったことから、地方では庶民はまだ白米ではなく玄米や雑穀などを食べていたのでビタミンB1不足にならなかったと考えられます。
つまり誰もが今のように白米を食べたいだけ食べられるようになったのは、日本の歴史の中でもごく最近ということになりますね。
そして果物ですが、品種改良によってかなり甘くなっています。わずか数十年前のものと現代のものでも明らかに甘さが違うものがあるのです。
「昔はすっぱいみかんがあったなぁ」なんて思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか…私もそうです。
スーパーマーケットでは「焼き芋」の甘い香りが漂ってくることがありますが、さつまいもは、より糖度が高くておいしいものが求められており、品種改良によって甘くなっています。
残念ながら、米・果物・芋、いずれも昔のものよりも血糖値を上げやすくなっているんですね…昔よりも労働などで体を動かす機会は減っているのに!
まずお菓子やジュースをやめるのは良いが…
栄養的には必ずしも必要ではなく、かつ食後血糖値を急激に上げやすいお菓子やジュースをまずやめようというのは良いことです。
ただ…残念ながら「それだけでは不完全な人」も少なからず存在するのです。「お菓子やジュースは悪だが、主食や果物、芋はしっかり食べなければいけない」との思い込みが、私が糖尿病になってしまった原因のひとつかもしれません。
「2型糖尿病になりやすい体質」と言ってもどうやら、ピンからキリまであるようです。民族差もあります。誰もが「お菓子とジュースを控えて運動不足に気をつけていれば100%予防できる」とは限りません。
「自然のものだから」と言っても品種改良されて昔のそれとは違いますし、食後に体を動かす機会も減っています。どうか気をつけてくださいね!
昔より甘くなったのなら、昔より食後に体を動かさないとチャラにはならないね!
たまたま糖尿病になりにくい体質の方はいいかもしれないけど、家族に糖尿病患者さんがいらっしゃる場合は注意しなくちゃね!