糖尿病患者は夏に気をつけなければいけないことがあります
夏は海にプール、花火、旅行…楽しい予定がいっぱいでワクワクしている方もきっと多いでしょう。でも糖尿病患者にとって、夏は特に気をつけなければいけない季節なんです。
糖尿病患者以外の方にとっても、夏は何かと食べすぎたり体調を崩したりしがちな季節です。でも糖尿病患者の場合は、さらに気を付ける必要があるんです。
一般的に、夏は冬と比較して空腹時血糖値がやや低めで血糖値は良好になる傾向があると言われていますけど、何かの行事でふっと乱れる機会も多いんです。
また脱水状態になると、脳梗塞なども起こりやすくなってしまいます!特に糖尿病薬のSGLT2阻害剤(スーグラ、ジャディアンス等)を飲んでいる方は気を付けてください。
以前感染性胃腸炎にかかったときに脱水状態になりとても苦労したので、これはぜひ気を付けていただきたいと思います。
今回は、「糖尿病患者さんが特に夏に気を付けるべき4つのこと」についてお話していきたいと思います。
オレはどうも夏は苦手なんだぞ。寒い時は暖かい場所に行けばいいけど夏はなぁ…
そうね、体温調節と水分補給に気をつけないと体調を崩しがちになるわね。
アイスやかき氷の食べすぎ、清涼飲料水の飲みすぎ
暑い夏には、ついついアイスを食べたり清涼飲料水を飲みたくなってしまいます。でも言うまでもなく、これらはとても糖質が多いもの。
さっぱりしている「ガリガリ君」でさえ、味によっては20gを軽く超える量の糖質が入っています、気をつけましょう。
アイスを食べたり清涼飲料水を飲むと当然血糖値が上がりますが、そうなるとのどが渇くのでまた清涼飲料水を飲みたくなってしまいます。
高血糖→のどが渇く→清涼飲料水を飲む→高血糖→のどが渇く…の悪循環に陥ってしまい、とうとうインスリンが作用しなくなってペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)に!
ちなみに、2型糖尿病患者に起こる糖尿病性ケトアシドーシスはこのペットボトル症候群が多いんだそうです。
その名の通り清涼飲料水の飲みすぎが原因になることが多いのですが、アイスやみかんの缶詰の食べ過ぎで発症した方もいらっしゃいます。
よっしーが糖尿病性ケトアシドーシスを発症した時は、なぜか1~2か月ぐらい前から異常に糖質が食べたくなって、桃の缶詰やみかんをよく食べていました。
脱水症状や熱中症に注意!
清涼飲料水は糖尿病患者さんにとって非常によくありませんが、適切な水分補給はとても重要です。
糖尿病で合併症の神経障害があると、発汗異常が見られることがあります。暑いのになかなか汗が出なかったり、逆に汗を大量にかいたりするのです。
また、現在かなり人気がある糖尿病薬のSGLT2阻害薬(余分な糖を尿へ捨ててしまう、いわば薬による糖質制限と言えるもの)の副作用で脱水症状が起こりやすくなることも。
脱水状態というのはとても危険で、SGLT2阻害薬をメトホルミンと同時に服用していて脱水状態になると「乳酸アシドーシス」を起こしやすくなります。
乳酸アシドーシスはかなり危険な状態で、死亡する確率も高いのです。脈拍がいつもより速くてやたらとだるくてのどが渇く等の症状があれば脱水状態に陥っている可能性があります。
特に脈が速くなるというのは、自分でも確認しやすいことです。スマホのアプリで簡単に測定できますので、おかしいなと感じたら確認してみてください。
また脱水気味だなと思っても、いわゆる糖質の含まれたスポーツ飲料をがぶ飲みするのは大変危険です。最近では糖質ゼロの商品がありますのでそちらのほうがいいかも。
よっしーが糖尿病性ケトアシドーシスで入院した時、医師から真っ先に訊かれたのが「スポーツ飲料とか飲みすぎてなかった?」でしたから💦
インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は高温に弱い!
インスリン注射やGLP-1受容体作動薬(ビクトーザ、バイエッタ、リキスミア等)の注射を行っている糖尿病患者さんは、夏の高温に気をつけましょう。
あまりにも気温が高いと、タンパク質が変性して変色したり白濁するなどの変化が起こることがあります。もう元の効力は期待できません。
こうなってしまったら使用をやめ、新しいものを用意する必要があります。なるべく高温にさらさないように気をつけましょう。
インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬を持ち歩くときは、夏は保冷バッグなどを利用するといいでしょう。車の中で直射日光が当たる窓際などは特に高温になりやすく危険です。
また自己血糖測定用のチップも高温・低温・多湿などに弱いものです。直射日光が当たらず、気温の変化が激しくない場所に保管するようにしましょう。
夏は何かと付き合いや行事が多い…
普段はきちんと食事のコントロールが出来ている方でも、夏休みはお盆の帰省だの飲み会だのでどうしても飲み食いする機会が多くなりますね。
よっしーもたまに付き合いで外食することがありますが、羽目を外しすぎないように気をつけています。
行事の時に「ああもう今日はいいや、普通に食べちゃえ!」が許されるのは糖尿病ではなく健康なダイエッターの方だけです。
糖尿病の私たちは、やはりどんな時でもある程度の節度を持っていないと大変なことになってしまうかも??
夏は行事が多く、つい「うっかり」してしまいがちな季節です。しかし、「うっかり」のつみ重ねが危険ですし、脱水状態になりやすい季節でもあるんです。気を付けましょう!
暑い夏を元気に乗り切ってほしいね。アイスの食べすぎには気を付けて!
我慢しすぎず、適切にエアコンを使うことも大事よ!