糖質制限と脂質制限、糖尿病食事療法に2つの流派あり!?
糖尿病の治療食として、大きく分けると「糖質を制限する系」と「脂質を制限する系」の2つがあるようですね。
日本糖尿病学会が勧めるのは、脂質制限です。エネルギーの半分を糖質から摂取しなければいけない、なおかつ、タンパク質もそこそこ摂らなければならないとなると、減らすものは脂質しかないですもんね。
さすがに「運動さえすれば、何をどれだけ食べてもOK」という方法はないみたいです。だって、運動さえすりゃOKなら、スポーツ選手に管理栄養士がつく必要はないですもんね。
野球選手などで、けっこう太めの方もいらっしゃいますよね。元プロ野球選手のスーパースターだった清原和博さんも、ジムで本格的にトレーニングをしていらっしゃいましたが重度の糖尿病になってしまいました。
さて、糖質制限に関しては日頃さんざん書いているので今さら解説する必要はないと思いますが、脂質制限はどのような考えが元になっているのかちょっと調べてみたいと思います。
ちなみに、よっしーは大学4年生から糖尿病発覚するまでずっと脂質制限をしていました。鶏肉の皮は捨てて、豚肉の脂身も切って捨ててました。
またマヨネーズやバターは自宅には置いていませんでした。
高脂肪食はマウスさんにインスリン抵抗性を引き起こす
「高脂肪食とインスリン抵抗性」というタイトルの研究を見つけました。これはマウスに高脂肪食を食べさせたところ、耐糖能が悪化しインスリン抵抗性が引き起こされたというものです。
実験の要旨に「脂肪摂取量の増大はインスリン抵抗性を引き起こす最も重要な環境因子である。これは、高脂肪食の摂取により肥満が発症し、それによって脂肪組織や筋肉での糖の取り込みが低下するためと考えられている」とありました。
ちょっと待ってください。高脂肪食の摂取により肥満が発症し…とありますが、糖質制限はダイエット目的で行う人も多いぐらいです。
草食動物であるマウスさんではどうだか知りませんが、少なくともヒトの場合、きっちりと糖質制限をした場合、肥満はむしろ解消するのでは?
糖質のみの過食でも、太ることは容易ですしね( ˘•ω•˘ )
ただ、先日も書いた通り「糖質+高脂肪食」が最も太りやすく健康上も良くないことは間違いなさそうですね!ほとんどの人は糖質制限はしていないので、そういう意味で「高脂肪食は良くない」というのは正しいです。
ちなみに、マウスさんは魚の油では耐糖能は悪化しなかったそうです。よっしーも、魚の油はヒトに必要だと思うので、1日1回は青魚を食べるようにしています。
糖質と脂質を一緒に大量摂取してはいけない
糖質を普通に食べてなおかつ脂肪をたっぷり摂取すると、何が起こるでしょうか?
高糖質食でたっぷりと追加インスリンは出ますし、糖尿病患者であれば血糖値が上がりますよね。運動しても血糖値を下げきれない分は、インスリンを打ったりクスリを飲んで下げることになりますね。
追加インスリンが分泌されたとき、食べたものは中性脂肪に変わりやすくなります。糖質をたくさん摂取して、その上脂肪まで大量に食べれば、大部分は肝臓に蓄えきれずに余って中性脂肪になります。
この作用は、自己分泌のインスリンであっても外から注射するインスリンであっても同じです。
糖質だけを食べた時以上に、糖質と脂質を一緒に摂取すると太りやすくなり、中性脂肪が増えるわけですよね。
きちんと糖質制限している方は中性脂肪は低めの方がほとんどだと思いますが、そうでない方でたまにびっくりするほど中性脂肪が高い方がいらっしゃる。
よっしーの夫の後輩は、まだ20代なのに中性脂肪が1000近くあったそうです。大丈夫かな!?見た目別に太ってないように見えますが…
そして、余った脂肪はどこへもいくアテがないので、「異所性脂肪沈着」を起こします。これは筋肉内など、本来は脂肪ではない部分に脂肪が沈着した状態です。霜降り肉ですよね。
内臓脂肪や異所性脂肪沈着は糖尿病を発症させたり悪化させると考えられています。つまり「糖質を食べながら」脂質を大量摂取すると非常によろしくないわけです。
カツカレー・天丼・ケーキ・ドーナツ・ハンバーガー・フライドポテト…みんなが大好きなものは大抵、高糖質かつ高脂質です。
糖質と脂質、あなたはどちらを諦めますか?
そういうわけで残念ながら、糖質と脂質を一緒に大量摂取することは避けなければいけません。運動で消費すると言っても、限界があります。
だいたい、仕事が忙しい日本人の大人で、毎食後たっぷり運動できるほど暇な方は少ないでしょう?
糖質制限するなら、周囲でみんなが糖質を食べていてもガマンしなければいけないので、精神的に辛くなりがちです。また食費はどうしても高くなりがちです。
脂質制限するなら、焼き肉を食べに行っても少ししか肉を食べられませんし、ステーキ1人前は食べられません。カツカレーも天丼もNGです。
結局、どちらを選んだとしても何かしらガマンしなければいけないのは一緒なのですね。
こう書くと「この魔法のサプリメントを飲めば何をどれだけ食べても大丈夫♪」なんて業者さんが言い出すかなwww
バランスよく中庸がいい?
「いや、そんな極端なことをしなくてもバランスよく適度に何でも食べてよく運動していればそれでいいのだ!」という考えもあるでしょう。昔のよっしーがそうでした。だから、女子栄養大学のカロリー計算本を何冊も持っていましたし、スポーツジムにも通ってました。
しかし、その程度のことでは、糖尿病体質の人の糖尿病は予防改善しきれません。糖尿病体質ではない、高度肥満不摂生型糖尿病には効果があると思いますが…
そもそも「バランスのいい食事」というものに科学的根拠はなく、「昔の日本人がそのぐらいのバランスの食生活だったのでそう決めただけだ」と日本糖尿病学会の評議員の先生もおっしゃっていたんですよ。
みなさんは、どの食事療法が自分に合っているか迷ったら、とりあえず両方やってみたらいいと思います。どちらか一方しか試さないとしたら、もったいないです。
そして、草食動物のマウスの実験の結果とか、自分と体質が違う他人の結果はどうでもいいんです。大事なのは「あなたの場合はどうか?」ですから。
もしあなたがうまくいっている方法でも、他の糖尿病患者にはうまくいかないかもしれません。だからよっしーは、現状うまくいっていない人に対して「糖質制限っていう方法もあるよ」とは言いますが、押し付けることはしませんね。
まず、持っていない方は自己血糖測定器(できればFreeStyleリブレ)を用意して、いろいろ食べて比較してみるといいですね。
どんなものを食べた時血糖値がどう上がるのか、運動したら血糖値はどうなるのか、実際に測ってみると「思ってたのと違う!」ということがたくさんあるんですから。