アルコールで糖尿病発症予防?
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『食事でワインを飲むと糖尿病リスクが減少 適量のアルコールは健康に良い?』というタイトルの記事を糖尿病ネットワークさんで見つけました。
こういう記事が出るたびに「ほーら見ろ!やっぱり少しは飲んだほうがいいのだ」と喜んでしまう糖尿病患者さんもいらっしゃるかもしれません。
しかしこれはあくまでも「まだ糖尿病ではない方が糖尿病を新たに発症するリスクが減る」という話であってすでに糖尿病になってしまった人の話ではありません。
また記事中で紹介されている「お酒の適量」を超えるとかえって健康には害があり、日本人男性の場合は1日あたりアルコール20~25g(女性はその半分)が適量と考えられるそうです。
人気があるいわゆる「ストロング系缶チューハイ」で考えてみましょう。アルコール度数9%のもの350mlに含まれる純アルコール量は350✖0.09✖0.8(アルコール比重)=25.2gとなります。
これが500ml缶だと500✖0.09✖0.8=36.0gにもなってしまいます。男性でも350ml1缶で限界、女性は適量の2倍にもなってしまいます。
「ストロング系チューハイは危険だがワインなら良いだろう」と思われるかもしれません。しかし厚生労働省によれば平均的なワインのアルコール度数の目安は12%だそうです。
ワインは缶チューハイほどぐびぐび飲んでしまうことはあまりなさそうな気がしますけど、アルコール度数は高いのでうっかりするとすぐに「適量」を超えてしまいそうですね。特に女性は。
もちろん私たちには縁のない話なんですけど、人間さんたちには気になる話題ですね。
そうねー、お酒が好きな方も多いし。
お酒が食後血糖値の上昇を抑える?
イギリスの大規模な調査から「食事と一緒に適量のお酒を飲む人は糖尿病発症のリスクが14%下がり、特にワインを飲む人でリスクが低下する」ことがわかったそうです。
「食事中に飲む人だけに糖尿病発症リスクが下がるというメリットが見られた」とありますから、空腹時に単独でお酒だけを飲む人にはメリットが見られなかったということでしょう。
また赤ワインにはポリフェノールの一種で抗酸化作用のあるレスベラトロールが含まれるので、これのおかげで糖尿病発症リスクが下がったのではないかと考えられるそうです。
ではちょっと考えてみましょう。まず「食事中にお酒を飲む人のみ糖尿病発症リスクが下がった」件について。
食事中にお酒を飲むと、そうでない場合と比較して食後血糖値が上がりにくくなる経験をお持ちの方も多いでしょう。私もフリースタイルリブレをつけているとよくわかります。
それは飲酒時は肝臓での「糖新生(新たに糖を作り出す働き)」が抑制されることなどにより血糖値が上がりにくい状態になるからです。
ただしこれは飲酒後しばらくの間だけに起こること。一時的に血糖値は上がりにくくても、後で遅れてじわじわ上がってくることもあるので油断は禁物です。
また慢性的に適量を超えた量の飲酒を続けていると、脂肪肝になったりすい臓障害が起こってインスリン分泌能力が低下するそうです。
食後血糖値の上昇を抑えることでインスリンが過剰に分泌されることや血管の内側が傷つけられることを防ぐというのは良いことですが、これは糖質制限でも同じ効果が得られるのでは?
レスベラトロールが糖尿病を予防する?
赤ワインに含まれるポリフェノールの「レスベラトロール」が糖尿病発症予防に効果があるのではないかと考えられているそうですが、赤ワイングラス1杯に含まれる量は多くても1mgぐらいだそうです。
効果的にレスベラトロールを摂取したいなら、費用を考えてもサプリメントから摂取したほうがかなりトクかもしれないですね。
ただ、まだよく分かっていないことも多いのと、乳がん・卵巣がん・子宮がんにかかったことのある女性はレスベラトロールの大量摂取を避けるべきだという話もあります。
そしてどれほどの効果があるかはともかく、糖尿病に効果があると言われているポリフェノールはレスベラトロールだけではなくコーヒーポリフェノールなど他にいくつもあります。
結局、糖尿病患者はお酒を飲むべきかどうか
飲酒習慣のある糖尿病患者では自律神経障害や末梢神経障害などの合併症が進行しやすいそうです。医療機関のサイトを見ても「糖尿病合併症がある場合は少量でもお酒は飲まないでください」と書いてあるものがありました。
お酒については少量ならいいとか悪いとかいろいろ言われていますが、結局は自分の体の状態を考えて自分で判断するしか無いのかもしれません。
そして「大量の飲酒」はおそらくどなたにとっても間違いなく健康に良くないわけですから、わずかな量でやめておけない方は最初からまったく飲まないほうがラクかもしれません。
少量のお酒がもしかしたら健康に良いかもしれない?と言っても、個人差もあるでしょうし、何より「お酒を飲まないからと言って病気になる」ことはないのですから。
過信しないほうがよさそうですね!
健康へのメリットばかりじゃないものね。