糖尿病教育入院で「正しい知識」を学ぶ?
時事メディカル様のサイトに「糖尿病患者が病院で学ぶ~教育入院で生活習慣改善~」という記事が掲載されていました。
糖尿病患者が「教育入院」をすることによって食事療法や運動療法について「正しい知識や方法」を知ることができ、血糖値をコントロールできるようになるんだそうです。
私は糖尿病教育入院がまったくムダだとは思いません。糖尿病合併症の検査を受けたことは有意義でしたし、それまでまったく運動をしていなかったり暴飲暴食しまくりだった方は教育入院しただけで劇的に数値が良くなることもあるでしょう。
↑同じ病院食、両方の患者さんに同じだけの効果が出ると思いますか?(性別、体格により主食の量は多少違うでしょうが、基本的にメニューは同じとして)
でも、これまでもさんざん書いているように、それだけでは血糖値が下がらない患者もいます。これはTwitterで複数の糖尿病専門医の先生がDMで教えてくれたことです。
アメリカでは「すべての患者にピッタリな唯一無二の食事パターンがあるわけではない」として糖質制限を含めていくつかの食事療法を正式に認めています。
記事には『生活習慣を改善しても血糖値が下がらない場合、血糖値を上げるコルチゾールというホルモンが副腎から分泌され過ぎるクッシング症候群などが潜んでいることがある』とあります。
確かに、ホルモンの異常で糖尿病になる場合がありますね。私も入院中、原発性アルドステロン症などのホルモンの異常がないかどうかの検査を受けましたが、すべて正常でした。
ホルモンの病気ではない普通の(?)2型糖尿病患者が、病院食では血糖値が下がらないことがあるってことですよね。
そうよ!そういう患者は結局どうしたら一番良いのかってことなの。
2型糖尿病はそんなに単純な病気ではない!
1型糖尿病患者さんが教育入院してインスリン注射や食事療法について学ぶことは良いと思います。でも、2型糖尿病は人によってあまりにも差がありすぎます。
一口に2型糖尿病と言っても、暴飲暴食が原因の方、運動をまったくしていなかった方、糖尿病家系の方…全員同じわけでは有りません。
また、肥満とは無関係に「マグネシウム不足」がインスリン抵抗性を引き起こす原因になっているそうです。
私は食事から十分にマグネシウムを摂取しているつもりでしたが、若い頃からマグネシウム不足の症状がありました。成長期にはチック、成人後は足がつったりまぶたがピクピクしたり…
マグネシウムはストレスなどが原因で尿中に多く排泄されてしまうそうですが、他にもマグネシウムの吸収や利用がうまくいかない体質?などもあるのでしょうかね。もしかしたら…
激しい運動によってもマグネシウムの排泄が増えるそうなので、スポーツクラブで働いていた時の私がよくまぶたがピクピクしていたのは当然だったのかもしれません。
最近、クエン酸マグネシウムの摂取量を1日あたり600mg→900mgに増やしたら血糖値が改善したのですが、もともとマグネシウム不足ではなかった人はもしかしたら飲んでも効果はないかもしれません。
また「今までは部屋に引きこもってゲームばかりしてて運動どころか散歩すらまったくしませんでした」という方もいれば、私のようにもともと運動していた方もかなり知っています。
みんな原因も状態も違うのに、一律おんなじ食事指導・運動指導で「これで血糖値が上がるのなら薬をいくつも飲んだりインスリンを注射すればいいじゃない!」っていうのもなんだか納得がいきませんなぁ。
患者一人一人に合わせた指導はいつ可能になるの?
安田大サーカスのクロちゃんのように、たった5日間の教育入院で体重が3.1キロ減り、空腹時血糖値も172から92へと正常値まで改善してしまう2型糖尿病患者も確かにいらっしゃいます。
それは、彼の場合は食べすぎが原因だったからでしょう。しかし問題は「そうではない患者」もかなりいるのにそちらには適切な対応・指導がされているとは言えないことです。
私のTwitterのフォロワーさんたちも過去に何人も入院なさいましたが(糖尿病ではなく別件での入院も多い)、多くの方が「病院食で高血糖になるのでいつもより多くの薬やインスリンが必要だった」とおっしゃいます。
普段よりもたくさんの薬が必要になるような食事が、本当にその方にとって「正しい食事」と言えるでしょうか?「もっとその人にとって良い食事がある」ということではありませんかね?
日本の糖尿病診療ガイドラインの食事療法を変更するのは、いろいろな事情からそんなに簡単ではないとは思います。何かを変えるにはそれなりの準備というものが要ります。
しかし、現在のガイドラインがこうだからといって、そこに書いてあることだけが唯一の正解で誰にでも当てはまるかのように語る先生はホント勘弁していただきたいですよね…私の主治医はそうではないから本当に良かったです!
現在行われている「糖尿病教育入院」は一部の方には間違いなく有効ですが、全ての患者に同じように効果があるとは限らないことを忘れないでください。そして、患者ひとりひとりに合わせた指導が行われるようになってほしいと願います。
みんな違うのだから、対処方法もひとつではうまくいきませんよね!
先生たちはめんどくさいかもしれないけど、もっと一人ひとりの患者に合わせた指導をしてほしいわね。