日本人は動物性脂肪の摂取を減らしすぎないほうがいいかもしれない

動物性食品は悪者ではない!?

みなさんは子供のころからなんとなく「動物性脂肪は健康に良くないからあまり食べてはいけない!」と思っていませんでしたか?

それでバターではなく植物性のマーガリンを愛用していた方も多いと思いますけど、最近ではマーガリンに含まれる人工のトランス脂肪酸のことが広く知られるようになり、バター派が増えてきたような気がします。

それはともかく、肉や乳製品などに含まれる「動物性脂肪」を諸悪の根源だと考えて極力避けていらっしゃる方も多いはず。私も昔は脂質制限をしていて、肉の皮や脂身はすべて捨てていました。

 

飽和脂肪酸に関する内容の4コママンガ

「動物性脂肪=悪」は常識でも誤謬かも|連載・特集|Medical Tribune
研究の背景:動物性脂肪(飽和脂肪酸)摂取は控えるべきとされがち  私が子供のころ、小学校の給食のパンに塗るものといえばバターではなく、マーガリンであった。Seven Countries Study(J Mt Sinai Hosp NY 19

 

北里大学北里研究所病院の糖尿病センター長である山田悟先生の『「動物性脂肪=悪」は常識でも誤謬かも』という記事をメディカルトリビューンで見かけました。

誤謬(ごびゅう)とは「間違っていること」「一見正しく見えるが間違っている推理」という意味の言葉です。

多くの方が長年信じてきた「動物性脂肪が悪」ということが実は間違っているとはどういうことでしょう?糖尿病とも無関係ではない話なので記事にすることにしました。

 

まじめん
まじめん

ボクたちは野生では普通に動物性脂肪が含まれる獲物を食べていますが…

よっしー
よっしー

猫に青魚ばかり食べさせると不飽和脂肪酸の過剰摂取から黄色脂肪症という病気になることも知られているわね。

乳脂肪摂取量が多いほうがメタボ率が低い!

21の国の35~70歳の男女、合計15万人の食事内容などから「メタボリックシンドローム」「高血圧」「糖尿病」に関する調査研究が行われました。

メタボリックシンドロームに関しては横断研究健康状態や病気の有無と、その原因と考えられる要因が有るか無いかを同時に調査し、関連性を明らかにする)が行われました。

高血圧、糖尿病に関しては前向きコホート研究(ある要因にどの程度晒されるかによって調査対象を複数の群に分け、一定期間に渡って追跡し、ある病気をどのぐらい発症するかを調べる)が平均9.1年間行われました。

乳製品の摂取量によって4つのグループに分類したところ、乳製品をまったく食べないグループとと比べて最も多く食べるグループでは血圧、腹囲、BMI、中性脂肪、血糖値のいずれも低くメタボリックシンドロームが少ないことが分かりました。

 



 

この傾向は乳製品の種類(牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター)で分けてみても同じだったということです。

ただしこれは「普通に脂肪を含んだ乳製品」の場合のみ見られた傾向であり「低脂肪の乳製品」を食べている場合はこの傾向は見られなかったそうです。

そして乳製品をまったく食べないグループの高血圧や糖尿病発症率を1とした場合、普通の乳製品をもっとも多く食べるグループでは高血圧発症率は0.91、糖尿病発症率は0.88でした。

低脂肪の乳製品の場合、もっとも多く食べるグループでは高血圧発症率は0.87で糖尿病発症率は0.95でした。

つまり乳製品をまったく食べないよりも積極的に食べたほうが高血圧も糖尿病も発症率が下がるけれど、糖尿病予防に関しては「低脂肪ではなく普通に脂肪を含んだ乳製品のほうがより効果的」ということですね。

 

飽和脂肪酸は本当に健康に良くないのか?

脂肪を構成している要素である脂肪酸は、分子の構造的な違いから飽和脂肪酸不飽和脂肪酸に分類されます。乳製品に含まれる乳脂肪の約62%が飽和脂肪酸です。

一般的に飽和脂肪酸は動物性食品に多く、不飽和脂肪酸は植物性食品や魚に多く含まれているので「飽和脂肪酸は健康に悪く、不飽和脂肪酸は健康に良い」と思いがちかもしれません。

厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2020年版)』、日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン2019』はどちらも脂質摂取を20~30%に制限すること、特に飽和脂肪酸摂取量の上限を7%に制限することを推奨しています。

しかしその根拠はと言うと、前者に関しては「日本人が現在摂取している飽和脂肪酸量を測定し、その中央値をもって目標量(上限)とすることにした」つまりこの数字に科学的根拠があるわけではないそうです!

 

 

後者に関しては「エネルギー産生栄養素比率について、これを設定する明確なエビデンスはない」と明記されており、なぜこの数字になったのかはっきりと分からないそうです。

じつは「飽和脂肪酸を減らす、または飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置きかえることは血清脂質の改善に有効で、冠動脈疾患発症予防にも有効である」という研究はあるんです。

ただし「飽和脂肪酸をこれ以上摂取すると良くない」とされる数字は、日本人の飽和脂肪酸の平均摂取量よりも多いようなのです。研究によってまちまちでもあります。

まだよくわかっていないことも多いとはいえ、日本人の平均よりちょっとばかり多めに動物性脂肪を摂取してもそれが即・重大な健康問題を引き起こすとは考えにくいのではないでしょうか。

 

動物性脂肪の摂り過ぎも不足も良くないのではないか

肉やバターに含まれる飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やすとされて敬遠されがちですが、逆に飽和脂肪酸の摂取量が少ない場合は脳出血になりやすくなることも分かっています。

日本人は欧米人よりも飽和脂肪酸の摂取が少ないことが欧米よりも脳出血が多い原因のひとつなのではないかと考えられています。

日本人の男女58453人を16年間追跡し、飽和脂肪酸の摂取量と循環器疾患(脳出血、脳梗塞、心筋梗塞など)で亡くなった人の割合を調べた研究があります。

結果は…1日に食べる飽和脂肪酸が増えるにつれ、脳出血や脳梗塞による死亡リスクは減少しました。飽和脂肪酸の摂取量が最も多いグループの脳出血・脳梗塞による死亡率は、最も少ないグループに比べ約40~50%も低くなっていました

 

 

飽和脂肪酸を多く摂ると心筋梗塞などの心疾患のリスクが高くなると考えられてきましたが、この研究ではそのような関連は見られませんでした。

もちろん、脂質代謝に関する何らかの病気をお持ちの方などは例外でしょうし、非常識な量の飽和脂肪酸を摂取するとどうなるかはわかりません。

しかしこの結果を見る限り、日本人はもともと動物性脂肪の摂取量が不足気味であり、そのことがかえって脳出血や脳梗塞による死亡リスクを高めていると思われます。

「極端な脂質制限」をしてしまうと、糖質の過剰摂取と相まってこれらの疾患のリスクを高める危険性があるかもしれません。

常識の範囲内でなら…

飽和脂肪酸を多く含む乳製品をもっとも多く食べるグループでは、まったく食べないグループや低脂肪の乳製品を食べるグループよりもメタボや糖尿病が少なかったのは事実です。

食べ物とはいろいろな栄養素を含みますから、単にあれが良くないこれが良くないということではなくトータルで考えなければいけないのかもしれません。

私の個人的な意見としては、確かに肉だけを大量に食べるのは良くないかもしれないと思います。一部の糖尿病患者はタンパク質+脂質で血糖値が上がったり太りやすい傾向がありますしね。

 



 

でも肉だけではなく乳製品、魚、野菜、キノコなどいろいろなものを食べていれば特に問題はないのではありませんかね。

動物性食品に含まれる脂肪が健康に良くないのなら、トラもライオンもネコもみんな心臓や脳血管疾患で死んでしまいます。彼らはわざわざ脂肪を全部取り除いてタンパク質だけを抽出してプロテインにして飲んだりはしませんから。

そして彼らは肉は食べても、同時にご飯やパン、パスタなどを食べたりはしません。せいぜい獲物の内臓に含まれている草ぐらいでしょう?

ロクに運動もしないのにたっぷりの糖質と脂質を同時摂取すれば、そりゃ内臓脂肪も増えるし良くないに決まっていますよね…いつも脂肪ばかり悪者にされていますけど。

 

 

バケツ一杯の脂身を食べるなんて極端な方はほとんどいないと思うので、そういうことを考える必要は無いと思います…先ほど紹介した研究でも、カロリー摂取が500kcal/日未満の人と5000kcal/日超の人は極端すぎるので除外されています。

糖質と脂質を同時に大量摂取して運動しないのがもっともよくないわけなので、肉や魚と野菜を食べて適度に運動するか、糖質を食べて脂質をかなり減らしてやはり適度に運動するか…ということになるんでしょうかね。

どちらを選ぶかはその方次第だと思いますけど、脂質制限をする場合でもヒトの体内で合成できない「必須脂肪酸」だけは絶対に食事から摂取するように気を付けてくださいね!

 

飽和脂肪酸の摂り過ぎを気にするより、むしろ日本人は不足を心配すべきかもしれない。摂り過ぎも不足も健康に良くない!

 

まじめん
まじめん

飽和脂肪酸の不足も問題ないんですね!

よっしー
よっしー

摂り過ぎのことばかり心配して不足してしまわないようにね!

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