2型糖尿病患者には糖質制限が効果的だった!
MEDICAL TRIBUNEに非常に興味深い記事が載っていました。タイトルは「消滅に追い込まれた糖質制限反対論」です!
かつて「糖質制限は危険」とされる根拠としてよく使われた研究が、2型糖尿病患者では糖質摂取量が少ないグループで死亡率が低かったと報告されたのです。
この記事を書かれた山田悟先生は、北里大学北里研究所病院の内分泌・代謝内科部長であり糖尿病センター長でいらっしゃいます。
山田先生に糖質制限のやり方を質問する医師が多い中、たまに「糖質制限食は長期的には生命予後を悪化させるといわれている。安全性は大丈夫なのか?」という質問もあるのだそうです。
しかし山田先生は「2型糖尿病患者に対する糖質制限食指導は、短期的には血糖や体重管理に有益で、長期的にも死亡リスクを下げることが期待できる治療法であると断言できる」とおっしゃっています。
「健常者のデータで2型糖尿病患者の治療法を考察してはいけない」とも…本当にそうですよね!何を食べても血糖値が上がらない人と私のような糖尿病患者、同じ食事で同じ結果になるわけがないのですから!
血糖値が上がる病気なのに、健康な人と同じだけ食べないといけないっていうのは変ですよね。
「薬を使ってでも食べたい」と思う方はいいの。だけど、そうではない患者にまでそれを強制するのが変だと思うのよね。
糖質制限に反対する医師たち
何らかの糖尿病以外の病気が原因で糖質制限食が不向きな方もいらっしゃいますし、世間一般では健康的とされている食品でかなり血糖値が上がる方もいらっしゃいます。
したがって米国糖尿病学会のように「すべての患者に合う唯一無二の食事療法は存在しないので、ひとりひとりの患者に合わせた食事療法を採用すべき」というのがもっとも正解に近いと思われます。
イスラエルでは2015年すでに「栄養士や医師は糖尿病や肥満の患者に対して、個別化された食事療法が必要であることを知っておくべき。標準化された共通の食事指導が効果的でない場合は、患者によって食品に対する反応が異なっている可能性がある。患者1人ひとりに合った食事を見つけて指導する必要がある」と分かっていたのです。
しかし日本ではなんだかんだと理屈をこねて「糖質制限はダメだ!」とおっしゃる医師が多いのはなぜなのでしょう?
私は先日ケトアシドーシスで10日間入院しましたけど、最初にまだ糖尿病専門医ではない若い医師から「糖質制限はダメです」と言われ、その後主治医(50代の糖尿病専門医・指導医)から「あなたは糖質制限していい。自分に合っていてやりやすい方法がベスト」と言われたのが記憶に新しいです。
Twitterでもいろいろな医師(匿名の方も多いので実際はどうだか知りませんが…)が「糖質制限は危険だ」とか「今は昔と違っていろいろ良い薬があるんだから昔ほど食事制限しなくてもいいのだ」などおっしゃいます。
海外では「すべての患者に合う食事療法は存在しない」として複数の選択肢が認められているのに、日本人患者だけが特別だとは思えないのですが…
これまでに「糖質制限はダメです」とおっしゃる先生で甘いものや主食が好きではないという方をひとりも見たことがないので、自分が好きな糖質を制限するなんて信じられない!!という気持ちもあるのかもしれませんね。
甘いものが大好きな方は「甘いものを食べられないなんて不幸だ!」と決めつけるのかもしれませんが、患者の中には「甘いものを食べなくてもいいのでとにかく糖尿病合併症を回避したい」と願う方もいらっしゃいます。私もそうです。
また「良い薬」の登場によって以前ほど厳密に食事療法をしなくても良い患者さんもいらっしゃるのは事実だとしても、それが「なるべく薬を使わずに良好なコントロールを得たい」と希望する患者たちの努力を否定する理由にはならないのではないでしょうか?
時間が解決してくれると思う!
山田悟先生は現在、糖質制限食の長期安全性(9年間)を確認した論文を投稿準備中だそうです。
私が糖尿病と診断されて糖質制限を開始してから8年5か月経ちましたが、9年間というとそれより少し長いわけですね。
9年間実践して安全性が確認された方法が、10年や15年やって危険だとは私は思いません…いかがでしょうか?
「糖質制限反対論」に反対することは、すべての糖尿病患者に対して糖質制限を押し付けるものではありませんよね。選択の自由をきちんと認めてほしい、ただそれだけです。
「糖質制限を否定したい。現在の食事療法だけが唯一の方法であってほしい」と願う方々も、いずれ年月の経過にしたがってその考えを改めざるを得ない日が来るでしょう。
私のように診断時すでに糖尿病合併症が存在した患者は「その日」が来るまで待つことはできないのですから、自分で勉強しながら慎重に実践するしかないのです。
↑従来の食事療法では、糖尿病が劇的に改善する方はごくわずか…
選択肢が複数あることをなぜ良く思わない方がいらっしゃるのか理解できませんよね。
自分が好きな方法だけが唯一の正解でないとイヤなのかもしれないわね。でも、いつまでもそんなことはできないのよ。