2型もいろいろ…
今まで何度も「2型糖尿病にもいろいろあるから、誰もが同じ対処法でうまくいくわけではない」とこのブログで記事にしてきました。
しかしまだまだ世間一般の2型糖尿病のイメージは良くないようで、テレビで芸能人の健康診断をするような企画では典型的な「不摂生型」の方が取り上げられ、視聴者は「あんな生活だから2型糖尿病になるのだ」と批判します。
2014年に日経メディカルOnlineさんが行ったアンケート調査によれば、日本人医師2286人のうち6.6%が糖尿病患者だったそうですが…
2型糖尿病のイメージが悪いせいなのか「私は1型糖尿病です」「MODYです」と公言する医師は居ても「私は2型糖尿病です」とカミングアウトする医師の方ってあまり見かけない気がします…ほとんどが2型糖尿病のはずなのにね。
↑さて。私はしらねのぞるば様のブログは非常に勉強になり面白いので毎回読ませていただいています。
【断食,カロリー制限食,プラントベース食,あるいは筋トレやランニングなどで,『糖尿病が治った』『糖尿病を治した』という経験談を見ると,それぞれ自分に適した肥満脱却法を見つけて実践したら成功したという例がほとんどです. つまり,ほとんどが単純肥満型糖尿病であったと思います.】(しらねのぞるば様のブログの記事より引用させていただきました)
本当これですよね…方法は何でもいいからとにかく痩せるだけで簡単に糖尿病が改善するタイプの方が「俺はこの方法で上手くいった。だからみんなこれをやるべき。他はダメだ!!」ってありがちじゃないですか?
努力なさったのは素晴らしい事だと思いますが、他のやり方を否定する必要があるのでしょうか?他をsageないと素晴らしさを語れなかったりする?
「自分は糖質制限なんてしなくても、病院で指導されたとおりに食事をしたら血糖値が正常になった。糖尿病だからって特別な食事制限は必要ないんです!」と書かれている方を見て悲しくなったこともあります。誰もが同じってわけじゃないのにね。
ただ、どの方もその方にとっては紛れもない事実に基づいて発言されているわけなので、そういう意味では嘘じゃないですもんね。いろいろな患者がいるという想像力が足りないというだけで💦
みんなそっくり同じならお医者さんたちも苦労しないと思うんだにゃー。
そうでしょ?そんなに単純じゃないから苦労するのにね。
2型糖尿病ってひとくくりにすると危険!
2018年にスウェーデンとフィンランドの研究チームから「糖尿病は実は5つのタイプに分類できる」との提案が発表されました。
そのうち1つは1型糖尿病に当てはまり、従来は2型糖尿病と呼ばれていた病気が実は4種類に分類できるのではないかということです。
・重度のインスリン欠乏糖尿病(SIDD)
HbA1C値が高く、インスリン分泌障害および中程度のインスリン抵抗性を特徴とし、肥満は少ない。自己免疫が原因ではない。・重度のインスリン抵抗性糖尿病(SIRD)
肥満および重度のインスリン抵抗性を特徴とする。インスリン分泌は保たれているが、体はそれに反応しなくなっている。併発症の医療費がもっとも高い。・軽症の肥満関連糖尿病(MOD)
肥満はあるもののインスリン抵抗性は軽度で血糖上昇も軽度。比較的若い年齢で罹患する肥満の患者が含まれる。・軽症の加齢関連糖尿病(MARD)
高齢の患者で構成されるグループで、全体の40%を占め、もっとも多い。加齢に伴い血糖値が上昇するが、その程度は軽度。
(糖尿病ネットワーク様の記事より引用させていただきました)
↑「サプリ」を「神食材」「筋トレ」「ジョギング」などお好きな単語に置き換えてお読みくださいませ…♪
糖尿病と診断されたとき非常に血糖値が高く、また1型糖尿病ではないかと疑われるほどインスリン分泌能力が低下しており「あなたはこの先も一生インスリンが必要」と言われた私はSIDD(インスリン分泌障害+中程度のインスリン抵抗性)なのでしょうね。
また、しらねのぞるば様のブログによれば「SIRDは糖尿病に関する遺伝子をまったくもたず、初期には血糖値はそう悪くないが、腎機能が急速に低下していく」のだそうです。
家族に他に糖尿病患者がいないのに自分だけ発症して、そんなに悪い数値じゃなかったのにどんどん腎臓が悪くなっていく…というのはとても辛いですね。
SIDDやSIRDの患者が、痩せるだけで簡単に血糖値が下がるMODの患者さんの体験をマネをしても、うまくいかないのは当然ですよね💦
一部の人にしか効かない=悪い、ではない!
病院の標準治療もそうですが、「すべての糖尿病患者に同様の絶大な効き目がある」方法って存在しないと思います。インスリンを打てば誰でも血糖値は下がりますが、それで問題がないわけではありませんよね。
病気で糖質制限してはいけない方や「主食や甘いものをやめるぐらいなら死んだほうがマシ!」とおっしゃる方さえいます。だから糖質制限も他の方法も「すべての人を救えない」という点では同じですよね。
でも、それでいいではないですか。すべての人に同じ効果がある方法が存在しないからこそ、複数の選択肢の中から自分に合うものを選べばいいのではありませんか?
自分が成功した方法だから他の2型糖尿病患者もみんなこの方法で良くなるはず、他の方法はダメだから全部否定する!!なんてことになっちゃうと、それはもう「新興宗教の教祖様」状態なわけ💦糖質制限系にもそうでない系にもそういう方は見かけます。
糖尿病と診断されたばかりのみなさん、もし「どの情報を信じたらいいんだろう?」と迷ったら、とりあえず「自分以外の方法を全否定しているもの」はやめたほうがいいですよ。
だって2型糖尿病は、みんな同じ…じゃないんですからね。原因や病態が異なれば、対処法も異なっていて当たり前。それが理解できないと大変です。
2型糖尿病にもいろいろあるから、ひとりひとりにもっと合った治療がされるようになるといいですにゃあ。
そうなれば糖尿病合併症はぐっと減るでしょうね。