糖尿病が治った!?と勘違いする原因は…
先日、お笑い芸人で2型糖尿病患者のグレート義太夫さんのことを記事にしました。義太夫さんはお父様が糖尿病患者で、自分も30代の若さで糖尿病になってしまいました。よっしーと一緒です。
入院してインスリン注射の方法を習った義太夫さんは、物足りないカロリー制限食にうんざりしつつ治療をなさっていました。
義太夫さんは一時、血糖値が良好になったので、それまでのカロリー制限にすっかり嫌気がさしていたこともあって通院をやめてしまったそうです。
しかし血糖値が良好に見えたのは、実は治ったのではなく腎機能がかなり低下してしまったせいだったのです。ほどなく、義太夫さんは人工透析を始めることになってしまいました。
現在も義太夫さんは1回に5時間かかる人工透析を週3回続けていらっしゃいます。透析中はベッドに寝たままで何もできず、ただ「早く終わってほしい…」と思うそうです。辛いですよね💦
上の漫画は義太夫さんの体験を専業主婦の女性患者に置き換えて描いたものです。40~50代で糖尿病の治療を中断している方はかなり多いそうですね。
糖尿病腎症は怖い糖尿病合併症のひとつですが、なぜ糖尿病腎症で血糖値が良好になるのでしょうか?今回はそんなお話です。
グレート義太夫さんは気の毒だな…人工透析ってものすごく大変そうだな。
私も決して他人事とは思えないわ!遺伝、30代での発症…
糖尿病の3大合併症のひとつ「糖尿病腎症」とは?
糖尿病腎症は、糖尿病の3大合併症のひとつです。高血糖が続くことで動脈硬化が進行するのですが、毛細血管の塊である腎臓の糸球体でも細かい血管が詰まったり破れたりします。
最初は細かい粒子のアルブミンが尿に漏れ出すようになりますが、まだ腎臓の機能は低下しておらず、特に自覚症状はありません。
もっと悪化すると、タンパク尿が出るようになり、次第に血圧が上がってきます。むくみ・息切れなどの自覚症状が出るようになり、最終的には腎臓の機能がだめになってしまい、人工透析をしなければいけなくなります。
日本では毎年16000人(もっと多いと言う話もあります!)が、糖尿病腎症が原因で新たに人工透析を始めているそうです。これは諸外国と比較してもかなり多い数字だそうです💦
いったん人工透析になってしまうと、あとは健康な腎臓の移植を受ける以外に人工透析から逃れる方法はないようですね、残念ながら。
特に肥満歴のある糖尿病患者さんたちは早いうちから糖尿病腎症が進行しやすいそうですし、MODY(若年発症成人型糖尿病)の中には糖尿病腎症や糖尿病網膜症になりやすいタイプがあるそうです。
糖尿病腎症が進行するとなぜ血糖値が下がるの?
糖尿病腎症になっても、初期のうちはアルブミンが尿中に漏れる程度です。もっと進行すると、今度はタンパク尿が出るようになります。
そして、さらに腎機能が低下してくると、経口血糖降下薬やインスリン(外から注射したものに限らず、自己分泌のインスリンも)がなかなか分解されなくなります。
したがって、かつて血糖値が高かったのに、特に何も努力していないのに血糖値がすごく良好になったり、時には低血糖になる場合さえあるそうです。
薬を飲んでいないのにHbA1cが正常値になると「糖尿病が治ったのかしら」と勘違いしてしまう人もいるかもしれませんね。もっとも、きちんと通院している方は検査で腎機能の低下を指摘されると思いますけど💦
人工透析を行っている患者さんの中には、何も薬やインスリンを使っていないのに低血糖になった方もいらっしゃるそうですよ。
糖尿病腎症が悪化して糖質を食べても血糖値が上がらなくなったのを「糖尿病が良くなったのだ」と勘違いして放置すると大変なことになってしまいます!
グレート義太夫さんは上記の状態である時倒れてしまい久しぶりに病院へ行ったら「残念ですがもうあなたの腎臓はほとんど機能していません、人工透析を始めましょう」と言われたそうです…
糖尿病腎症を悪化させるものは何か?
糖尿病腎症を最も悪化させるのは、高血糖です。高血糖になるような食事を改めることが何よりも大事です。高血糖になる原因は何か、みなさんはよくご存知ですよね?
腎症があると「タンパク質を制限しなければいけないのでは?」とよく言われます。よっしーは1日あたり100~120gのタンパク質を摂取していますが、これはいわゆる筋肉を付けたいと思って筋トレに励んでいる方たちと同じ程度の摂取量だと思います。男性では、もっと大量に摂取している方もいます。
この程度の量が腎臓に悪いとすれば、彼らも腎臓にとても悪いことをしているということになりますが、どうでしょうね。
筋肉もつけたいし、困っちゃいます。どんなに筋トレだけ頑張っても、筋肉の材料が不足していれば絶対に筋肉モリモリにはなれませんよ?
日本では現在、糖尿病腎症であってもeGFRが60以上あればタンパク質制限はしなくても良いとされています。ちなみに江部康二先生は1日130~140gのタンパク質を摂取なさっていて腎機能に異常はないそうです。
腎臓内科医の塚本雅俊先生は「糖尿病性腎症の初期から透析期まで、糖質制限は問題ない 」とおっしゃっています。各自よくお読みになり、不安であれば主治医とよく相談なさってくださいね。
糖尿病腎症のある方の運動療法はここに注意!
糖尿病腎症があっても、まだ初期でアルブミン尿だけの段階で血糖コントロール良好なら普通に運動していいそうです。でもタンパク尿が出るようになったら、運動の内容や強度に制限がかけられることになります。
運動中の血圧上昇や血流の変化が腎臓の血管に負担をかけ、腎症の悪化により血圧はさらに上昇し、網膜症や心臓病の悪化、あるいは脳血管障害を起こす可能性が高くなるからです。
よっしーはもともとフィットネスの仕事をしていたこともあり、運動は好きです。しかし健康だった頃と同じレベルで高強度の筋トレや飛んだり跳ねたりする運動はもう行っていません💦
運動不足は糖尿病に良くありませんけど、すでに糖尿病合併症のある方がやたら運動することは危険を伴います、くれぐれもご注意ください。
血糖コントロールが良好になると「治ったのか?」と勘違いして勝手に薬や通院をやめてしまう方もいらっしゃいますが、とても危ないことです。きちんと通院しましょう💦
そして、血圧が少しづつ上がってきていないか?最近だるくないか?など、体に現れるサインを見逃さないように気を付けましょうね。
血糖値だけ下がって「やったー病気が良くなった!」と喜んでいると大変なことになるんだぞ。気を付けないとね。
そうね、何よりきちんと定期的に通院することがとても大事なのね。
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