糖尿病と脳卒中~どんな食事が良いか?~

糖尿病と脳卒中~どんな食事が良いか?~

脳卒中とはどんな病気か?

脳は多くの栄養と酸素を必要としています。脳に栄養や酸素を供給するのは動脈を流れる血液ですが、この動脈が何らかの原因で詰まったり破れたりして血流量が減り、脳の神経細胞に障害が起きるのが「脳卒中」です。

「脳卒中」の中でも、脳の血管が詰まることで脳への血流量が減って細胞が障害された場合は「脳梗塞」、脳の血管が破れて脳内で出血することで細胞が障害された場合は「脳出血」と呼びます。

脳卒中は日本人の死因の第3位ですが、高血圧や糖尿病などがあると脳卒中を発症するリスクが高くなります。

今朝、ケアネットの犬のコム太ちゃん(中の方)が「野菜と果物の食べる量が多いほど、糖尿病患者に多い脳卒中発症リスクが低下するというデータがあるよ」とツイートなさっていたのでふと興味が湧きました。

 

 

日本人87,177人(男性39,843人、女性47,334人)の方々を平均約13.1年間追跡した調査にもとづいてフラボノイドの豊富な果物の摂取と脳卒中発症リスクとの関連を調べた多目的コホート研究(生活習慣と病気の関係を調べるための大規模な疫学調査)があります。

男性ではフラボノイドの豊富な果物の摂取と脳卒中発症との関連は見られず、女性では摂取量が多いほど脳卒中の発症が減るということでした。

では女性の場合、果物を多く摂取すれば脳卒中のリスクを大幅に下げられるのでしょうか?私はもともと野菜も果物も大好きでしたが…今回はこのことについて考えてみたいと思います。

 

にゃご
にゃご

猫も脳卒中になる事ってあるのかな?

よっしー
よっしー

人間より少ないとはいえ、あるみたいよ。主な原因として糖尿病などの基礎疾患が考えられるようね。

タンパク質と脳卒中の関係

野菜や果物だけではなく、食事と脳卒中との間には関係があるようですね。アメリカで7つの研究の合計被験者25万4489人を平均14年間追跡したメタ解析(過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析)を紹介します。

2014年のこのメタ解析は「タンパク質摂取量と脳卒中リスク」に関するもので、結果は『タンパク質が最も多い食事を取る者は、タンパク質摂取量が最も少ない者に比べ脳卒中を発症する可能性が20%少なかった。タンパク質摂取量を1日20g増やすと、脳卒中のリスクは26%低下した。脳卒中リスクを低下させる効果は、植物タンパクよりも動物タンパクで大きかった』というものでした。

 



 

もう20年以上も昔の話ですが、私も大学時代に公衆衛生学か何かの講義で「昔の日本人は動物性タンパク質の摂取量が少なかったので脳卒中が多かった」と聞いた記憶があるんですよ。

タンパク質、特に動物性タンパク質に多く含まれるアミノ酸の中には、血管を丈夫にしたり高すぎる血圧を下げる働きを持つものもあります。

昔の農村のように、あまり肉を食べず塩分の多い食生活では脳卒中が多かったのも当然のことかもしれません。おそらく、脳卒中のなかでも脳梗塞ではなく脳出血が多かったのでしょう。

 

糖尿病と脳梗塞のただならぬ関係!

脳卒中の中でも、脳の血管が詰まって起きる「脳梗塞」は特に糖尿病患者に多く、血糖値が正常な人の脳梗塞の発症リスクを1とした場合、糖尿病の人のリスクは男性で2.22、女性では3.63にもなるそうです💦

そしてどういうわけか、1型糖尿病の方は脳出血のリスクが高くなるそうなのです…血糖値の乱高下の大きさがリスクになるのでしょうか?

低血糖時に「交感神経」が刺激されることによって分泌されるアドレナリンなどのホルモンには、血液の凝固を誘発したり、動脈硬化を促進させたりする働きがあり、結果的に心筋梗塞や脳梗塞などの大血管障害を増加させると考えられています。

糖尿病患者で脳卒中が多いのは、血糖値が高くなるせいだけではなく、低血糖を頻繁に起こすということも原因としてありそうですね。厳格な血糖コントロールを行うと重度の低血糖により脳卒中や心筋梗塞が起こりやすくなるそうです。

言うまでもありませんが、これは平均血糖値(HbA1c)が低いからではなく、重度の低血糖がしばしば起こることによります。健康な方はめったに低血糖にはなりませんから…つまり「血糖値の乱高下をなるべく起こさないこと」が大事なのではないでしょうか。

 

結局、脳卒中予防のために何を食べれば良いのか?

タンパク質、ことに動物性タンパク質の摂取量が少ないと脳卒中のリスクが上がり、また糖尿病患者では慢性的な高血糖と重度の低血糖の両方が脳卒中のリスクを大幅に上げることが分かりました。

野菜や果物の摂取量が多いと脳卒中の発症リスクが下がるというデータがあり、果物はその種類によって効果があるものとそうでもないものがあり、男性の場合は果物の摂取によって脳卒中の発症率に有意な差がない事も分かりました。

高血糖が良くないのでまず血糖値が上がりすぎないような食事を心がけるのは当然として、薬やインスリン注射により重症の低血糖が起こることも避けなければいけません。そう考えると、自分の場合はどの程度糖質を摂取すべきかが分かるでしょう。

塩で血圧が上がるタイプの方(日本の高血圧患者の約4割)は医師と相談して塩分制限をすべきですが、逆に塩分不足になっている方もいるので注意が必要かと思います。

 

 

果物は健康に良い成分も含みますが、野菜をしっかり食べていれば特に必要ないと個人的には思いますし、現代の果物は人工的に甘くされていて昔の野生のものとは異なります

健康に良い成分を含んでいるとしても、ある人たちにはそれ以上に良くない影響を及ぼす可能性もあるので各自そこらへんを考えて摂取すべきではないでしょうか?

タンパク質が含まれる食品をしっかりと摂取し、血糖値を大幅に上げない種類の野菜を食べ、体内で合成できない必須脂肪酸やビタミン、ミネラルが不足しないように気を付け、高血糖や低血糖が起こりにくいように…そう考えれば、自ずと何をどのぐらい食べるべきかが見えてくるでしょう。

 

にゃご
にゃご

自分の場合は何をどのぐらい食べたらいいかを自分で考えないとね!

よっしー
よっしー

その通りよ。すべてのヒト(や猫)がまったく同じ食事でうまくいくわけではないからね。

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