子供を産んだせいなのか?
うちは父と弟が2型糖尿病を若年発症していますが、私は20代前半までは特に異常はなく「フィットネスの仕事をして玄米食など食事に気をつけているおかげで発症しないのだ」と思っていました。
しかし20代半ばで結婚して長男を授かり、特に不摂生をしたわけでもないのに妊娠糖尿病になってしまいました。
産後は一旦正常値になったものの、次男を妊娠すると再び妊娠糖尿病になり、産後わりとすぐに2型糖尿病に移行してしまったようです。昔なので「産後も定期的に受診するように」との指示は一切ありませんでした。
次男を産んだ後、なかなか治らない乳児湿疹のストレスなどにより一時的に急に太ったのは良くなかったですが、最初のキッカケはやはり妊娠糖尿病だったんです。
↑↑↑私の漫画『この子が私を苦しめる〜糖尿病専門医 甘栗ミカコのカルテ〜水元恵子さんの場合』では、妊娠糖尿病と産後うつ気味で悩む女性を描きました。
彼女は産後も血糖値が正常化せず、近所の同じぐらいの月齢の子供と比べて手がかかる娘に思わず「こんな子を産まなければ良かった!」と言ってしまいます。
産後うつについては今回は置いておくとして、妊娠糖尿病になった女性は仮に子供を産まなければずっと糖尿病とは無縁でいられたのでしょうか?
もし子供が居なければずっと糖尿病と無縁で居られたのかどうか、ですね。
そんな風に考えてしまう方もいらっしゃるでしょうね。
2型糖尿病と妊娠糖尿病の関係
妊娠糖尿病になった女性は産後も血糖値が高いままだったり、一旦正常値に戻っても数年後に2型糖尿病になってしまう可能性はそうでない女性より明らかに高いです。
なんと、妊娠糖尿病の妊婦さんが将来2型糖尿病になる確率は、妊娠糖尿病ではない妊婦さんの7.43倍であるという報告があります!
しかし妊娠糖尿病になったのは、もともと「2型糖尿病になりやすい体質」だからこそ妊娠という負荷に耐えきれずに妊娠糖尿病になったと言うことなのです。
妊娠前は「耐糖能に余力のない状態」でなんとか糖尿病を発症せずに済んでいたのかもしれません。
妊娠が進むと、胎盤からインスリンの効きを悪くするホルモンが分泌されるので…正常な女性であればその変化に対応できますが、糖尿病になりやすい女性は血糖値を正常値に保てなくなってしまうのです。
だからそのような女性が仮に子供を持たなかった場合、20代や30代で2型糖尿病を発症することはないかもしれませんけど、子供がいなくてもいずれ発症する確率は高いのです。
つまり「妊娠糖尿病になったのは子供が出来たから」でしょうけど、「将来2型糖尿病になるのは必ずしも子供とは関係ない」ということです。
自分を責めないで!
妊娠糖尿病から2型糖尿病になると、漫画の女性患者のように「子供を産んだせいだ」と思ってしまったり「自分が妊娠中に何か良くないことをしたせいではないか」「自分のせいで将来子供に影響があるかもしれない」などと思ってしまうことがあります。
しかし、妊娠中に好きなものを食べまくっても太るだけで妊娠糖尿病にならない女性はたくさんいますし(テレビのダイエットコーナーでもたまに見ますよね?)、気をつけていても発症する人は発症します。
私は妊娠中も玄米食を続け、体重増加はちょうどいいペースと褒められましたが血糖値は上がってしまいました。いわゆる「バランスの良い食事」では妊娠糖尿病を予防しきれない人もいます。
病気になりたくてなる人はいませんし、どんなに努力したとしても100%発症を予防できるとは限りません。
特に、健康に良かれと思って実践していたことが、今思えばちょっとズレていたかも…と思う方も少なからずいらっしゃるかも。仕方ないです。自分を責めないでくださいね。
何も知らない他人は無責任なことを言うものです。私達一般人よりもずっと専門知識があるはずの女医さんでも、妊娠糖尿病になった方はいらっしゃいますよ。
どうしようもなかったことを嘆くより、自分とお子さんがずっと健康に暮らせるにはどうしたらいいのかを前向きに考えましょう♪
この先の幸せを考えるほうがいいですね。
お子さんは将来、糖尿病になるのを予防できるかもしれないし♪