若くして2型糖尿病になると長生きできない？？
若くして２型糖尿病と診断されてしまった皆様（私もその一人！）には非常にショックな話です。
海外の２型糖尿病患者の場合ですが、診断された時の年齢が若いほど余命が短くなることが示唆されたそうです…オーマイガッ！！
具体的には、30歳で2型糖尿病と診断されると平均余命が14年短くなる可能性があるということです…心血管疾患などで死亡するリスクが明らかに上昇するようですね。
私は37歳の時に2型糖尿病と診断されましたが、29歳で妊娠糖尿病になり次男を産んだ直後の検査でぎりぎり耐糖能は正常に戻っており、幼い子2人を抱えた専業主婦でその後検査に来るようにとの指示もなかったため、30歳過ぎには2型糖尿病に移行していたと思われます。
それから37歳で糖尿病と診断されたときにはすでに複数の糖尿病合併症が出てしまっていました。つまりかなりヤバい状態であり、そのままでは長生きできなかった可能性がありますよね！！
私と同じように若くして2型糖尿病と診断される方は多いと思います。また、子供の頃に1型糖尿病を発症した方も多いと思いますが、1型の場合はどうなのでしょうか？
糖尿病家系の人は若くして発症することも多いのに…
そうよ、いったいどうしたらいいのかしら。
あくまでも「糖尿病の標準治療」を受けた場合のデータ！
「若くして２型糖尿病になると長生きできない」なんて言われたらガックリしますけど、これは多数の２型糖尿病患者をかなり長期間に渡って追跡した調査です。
ごく最近ならともかく、数十年前の糖尿病患者の食事療法や薬物療法は現在と同じだったでしょうか？
薬物療法はどんどん変化していますし、糖質制限という食事療法を多くの方が実践し始めたのはわりと最近のことでしょう。いや、現在でも糖質制限を行っていない患者のほうが多いでしょう。
つまり「若い時に２型糖尿病と診断された患者が標準治療を受けた場合（どの程度食事療法や運動療法を守れたかどうかは分かりませんが）平均余命が短くなる」ということですよね。
ドクターシミズ先生は「若いころに糖尿病と診断されれば、そのまま糖質過剰摂取を続けたとすると、それだけ長く高血糖や高インスリン血症にさらされ続けることになり、そのダメージの蓄積は平均余命の短縮につながるのだろう」と考えていらっしゃいます。
若くして２型糖尿病になるということは、それだけ糖質過剰摂取の害を受けやすい体質であるということでもあります。普通の人の何倍も大量に食べていた方ばかりではないでしょう。
特別大食いでもないのに糖質の害を大いに受ける体質の方が、糖尿病と診断された後もそれまでと大差ない食事を続けるとしたら、どうでしょう？
インスリン注射や薬で血糖値を下げることができますが、インスリンが効きにくい状態のまま血糖値だけを下げようとすると、健康な方よりも大量のインスリンが必要になります。高インスリン血症も血糖値の乱高下も糖尿病合併症のリスクを上げるんですよね。
高インスリン血症はなぜ良くないのか？
血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」は非常に重要で、１型糖尿病ではインスリンが全く分泌されなかったり量が足りなかったりします（１型糖尿病にも色々なタイプがあります）。
２型糖尿病ではインスリンが十分に分泌されていても効きにくくなっていたり、糖尿病家系の場合は早い段階からインスリン分泌不足になりやすいです。
インスリンが効きにくいことを「インスリン抵抗性がある」と言いますが、インスリン抵抗性が有るということは正常血糖値を維持するために健康な人よりもたくさんのインスリンが必要になるということです。
だから血糖値だけ見たら完全に正常でも、２型糖尿病の場合は血液中のインスリン量が多くなっていることもあるわけです。
インスリンは大事なホルモンですが、量が多すぎるとある種のがんのリスクを上げたり、動脈硬化になりやすくなることが分かってきています。
インスリン抵抗性がない１型さんでも、大量にインスリン追加分泌を必要とするような食生活でたくさんインスリンを注射することは良くありませんよね。それで年齢よりもかなり血管年齢が高くなってしまったという方もいらっしゃいました。
１型糖尿病の場合はどうだろうか？
子供や若い頃に発症することも多い１型糖尿病の場合は、健康な方と比較して余命は短くなるのでしょうか？
1975年の米国の調査では1型糖尿病患者はそうでない人よりも寿命が27年短かったのに対し、2015年のスコットランドの調査では1型糖尿病患者の平均余命が、男性で11.1年、女性で12.9年短かったそうです。
治療の進歩によって昔より良くなったとは言え、残念ながら１型糖尿病患者さんもやはり健康な方と比較すると平均余命は短くなるようですね。
１型糖尿病の場合、２型糖尿病のような強いインスリン抵抗性はない場合が多いのですが、どうしても高血糖や低血糖が起こりやすいですからね…食事以外が原因で上がることもありますしね。
「高血糖」「低血糖」「血糖値の乱高下」「高インスリン血症」どれも良くないことばかりですよね。
これらがなるべく起こらないような治療方法であれば、健康な方と同じように長生きすることも期待できるのかもしれませんが…
若い時に発症しても長生きしている人も居ます！
当ブログでもさんざん既出ですが、米国の医師・リチャード・K・バーンスタイン先生はこの記事を書いている時点で89歳です。
12歳で1型糖尿病を発症されインスリン自己分泌はゼロ、標準治療を受けていて30代で糖尿病合併症に悩まされましたが、糖質制限＋インスリン少量頻回注射に切り替えて合併症を克服され、現在も医師として活躍なさっています。
彼の食事療法は「朝食は糖質6gまで、昼食と夕食は糖質12gまで」というかなり厳しいものですが、米国では2型だけではなく1型の患者さんでもこのメソッドを実践している方がたくさんいらっしゃるとのことです。
また私の父は30代で2型糖尿病と診断されたのですが、母いわく「20代の終わりごろからちょっとヤバかった」んだとか。当時の父の写真を見ても別に太っていませんし、学生時代は運動部だったのに…
そんな父は現在75歳ですが、今のところ目も腎臓も大丈夫みたいで元気そうにしています。最初は標準治療でしたが、途中から緩めの糖質制限に切り替えました。薬は使用していません。
糖質制限で有名な京都の江部康二医師はご両親が2型糖尿病だったそうでご自身も2型糖尿病ですが、20年以上前から糖質制限を継続されていて73歳の現在も医師として活躍中です。
糖尿病でも長生きするために何ができるか？
治療薬の進歩により、糖尿病患者の平均余命は昔よりは健康な方に近づいているとされます。しかし残念ながら、まだ健康な方と全く同じというところまではいかないようです。
一方で、糖尿病であっても血糖値の乱高下や高インスリン血症をなるべく避けることで健康に長生きしている方もいらっしゃいます。
私は主治医と管理栄養士の許可を得て糖質制限しているので糖質制限派の医師たちを紹介しましたが、他にも血糖値の乱高下と高インスリン血症を回避できる方法があればそれも同様に効果が高いでしょうね。
https://publish.m-review.co.jp/files/tachiyomi_J0006_2805_0066-0072.pdf
糖尿病合併症の中でも一般的にはそれほど知られていないと感じるもののひとつが「心血管自律神経障害」です。
具体的には安静時頻脈（運動したわけでもないのに脈が早い）、心拍変動の低下（CVR-R検査で分かります）、Non-dipper型高血圧（本来なら夜中には血圧が下がるはずなのですが、あまり下がらないタイプの高血圧）が出現します。
実は私も糖尿病と診断されたとき安静時頻脈と心拍変動の低下を指摘されましたが、その後の血糖コントロールにより1年ほどで症状は消失しました。が…油断はしていません！
心血管自律神経障害が進行すると起立性低血圧（急に立ち上がったり起き上がった時に血圧が低下し立ちくらみになる）が起きるようになりますが、こうなると突然死の可能性も高まります！！
自律神経障害がある場合は「日常生活以外の運動処方は行わない」となっております。無責任に高強度の運動を勧めてくる人には気をつけてくださいね。
糖尿病ではない健康な方は何をどれだけ食べても、また特に運動をしなくても血糖値は狭い範囲内に保たれています。
糖尿病であっても、健康な方に少しでも近づけることが長生きする方法なのではないでしょうか…血糖値が変動しやすい状態でそれはなかなか難しいことではあるのですが、そのためにできることはあるはずです。
健康な人に近づければ、長生きもできそうですね。
まだやりたいことがあるから頑張るわ！！
