夏井睦医師の『患者よ、医者から逃げろ』を読みました。

正義の意思と話す糖尿病患者

地獄への道は善意で敷き詰められている

ヨーロッパのことわざで「地獄への道は善意で敷き詰められている」というものがあります。これは「悪事または悪意は、善意によって隠されているものだ」とか「善意でなされた行為であったとしても、その実行により良くない結果になる」という意味です。

後者の「善意でなされた行為であっても、その実行により良くない結果になる」というのが非常に問題になります。

例えば、医師が「この治療法こそ最善の治療法だ」と信じて患者のために勧めても、中にはうまくいかない人も出てくるじゃないですか?

また糖尿病薬を処方したら運悪く副作用が出ちゃった…ってことも当然あるわけです。たまたま副作用が出たことがない方はラッキーだと思いますけど結構あるんですよ、これが💦

 

地獄への道は善意で敷き詰められているという漫画

今までに当ブログでも何度も書いている通り、標準治療はそれなりに理由があって選ばれているんでしょうからそこに悪意はないと思うんですよね。少なくとも現場の医師たちに悪意などあろうはずがありません。※「糖尿病は儲かる」とツイートしちゃった開業医の先生を除く💦

漫画の中で善良な医師の善野善助先生が「科学的根拠に基づく標準治療」と話していますが、以前は「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」だったものが前回2016年から「糖尿病診療ガイドライン」に変わり「科学的根拠に基づく」という部分が無くなりました

日本糖尿病学会の山田悟医師は「日本人を対象に科学的根拠を持っていると言える食事法は糖質制限食のみ」「しかし、日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン』では糖質制限食が採用されたことはなく、全く根拠の存在しないカロリー制限食が採用され続けている」と嘆いていらっしゃいます。

 

まじめん
まじめん

科学的根拠…ないんですか!

よっしー
よっしー

昔からずっとそうしてきたから、根拠が薄いにもかかわらずこれからもずっと継続しようっていうのよ。。

「知と論理の暴走族」夏井睦医師の新刊!

みなさんは夏井睦医師をご存知でしょうか?先日BS日テレの「深層NEWS」で糖質制限食の是非について管理栄養士の幕内秀夫さんと議論されたのがまだ記憶に新しいです。

夏井医師は湿潤治療(傷を消毒しない、乾燥させないで治す治療法)で有名で、これまでにも湿潤治療や糖質制限に関する本を何冊もお書きになっていらっしゃいます。

私は夏井医師にはまだ直接お会いしたことはないのですが、テレビで拝見したり本を読む限り、肌がとても綺麗でおっそろしく頭の切れる方だなという印象を持ちました。

その夏井先生の新刊「患者よ、医者から逃げろ その手術、本当に必要ですか? (光文社新書)」を購入して読みました。

 

 

主にヤケドの治療に関することが書かれており、けっこうショッキングな症例写真もたくさん掲載されているので苦手な方はご注意ください💦

タイトルが「患者よ、医者から逃げろ」なので医療を否定するようなトンデモ本だと誤解されるのではないかとちょっと心配ですが、どうか医師の方もぜひ読んでみてください。

この本では、現在ヤケドに対して行われている「標準治療」の問題点が赤裸々に書かれており、なぜ医師たちが古い治療法に固執しているのかその理由も説明されています。

誰もが「おかしいなぁ」と思いつつなかなかはっきり突っ込めない問題をその知性でもってズバッと斬っていく夏井先生は実に素晴らしいですし、これは糖尿病治療にも同じことが言えるのでは?

 

「私は運が悪い患者なのだ」とあきらめたくない!

糖尿病内科にきちんと通って医師に言われたことを守っていてもじわじわと悪くなる方はいらっしゃいます。

それを「血糖コントロールがかなり良くても合併症が出現する不運なヒト」なんて言葉で済まされたらたまったものではありませんよね!運って…科学じゃないでしょう💦

標準治療だけを正しいと思い、それ以外はすべてインチキ療法だと思って否定しないと気が済まず、そういう活動に全力を注ぐ先生方もいらっしゃいます。

ただ、明らかに危険でインチキ療法と言われてもしかたがないものもあるにしても、ガイドラインに載っていないことをすべてインチキだと言って批判するのはあんまりじゃないでしょうか。

夏井医師は、本当に患者のためを思って治療をなさっています。「患者のために最善(だと自分が信じている)治療を行う」のではなく実際に「患者たちに良い結果を出している」のです。

 

 

これは糖尿病も同じで「あなたは一生懸命やっていましたが、残念でしたね…」なんて言われてハイそうですかとあきらめられるとは思えません。

以下は神戸大学の岩田健太郎先生の言葉で、メディカルトリビューン様のサイトからの引用になります。全くその通りだと思います。

 

科学とは疑う営為だ。ある学説や偉い先生やガイドラインを信じるのは科学的態度ではなく、宗教的態度だ。科学と宗教は、案外区別しにくい。

ガイドラインは盲信するものではなく、検証するものだ。

 

マニュアル通りにやっていればもし何か良くないことが起きても責任を問われることは基本的にないでしょうし、ラクかもしれません。

医師にとってひとりひとりの患者はたくさんいる受け持ち患者のうちの一人かもしれませんが、私たちには一人ひとりの人生があります。

先生方が善意でしてくださる治療が、私たち患者にとっても最良の結果が出るものとなりますように…糖尿病に関しても、そうなる日が早く来ますようにと願っています。

 

まじめん
まじめん

ぜっかく善意でやってくれているんですから、それが本当に良い結果をもたらすものであってほしいですね。

よっしー
よっしー

少なくともうまくいっていない患者がいるのは間違いないわけで、それを全部患者のせいや運の問題だと片付けてはいけないわね。

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