糖質制限するからといって糖尿病の標準治療を否定するわけではありません

イケメンの糖尿病専門医

標準治療で回復の見込みがない糖尿病患者はどうする?

よっしーは5年近く前に糖尿病と診断されました。15年ちょい前に妊娠糖尿病になり、その2年後に再び妊娠糖尿病(糖尿病合併妊娠?)になり、産後は一応検査でギリギリ正常値だったので内科でのフォローもありませんでした。

小さな息子たちを抱えて専業主婦だったので健康診断を受ける機会がないまま年月が経過し、糖尿病らしき自覚症状が出始めてから1年後に体調が急激に悪化して入院して診断されました。

ここまで悪化するまでほったらかすケースはそれほど多くないかもしれません。会社員の方は毎年健康診断がありますもんね💦

16日間の入院を終えて退院するとき、糖尿病療養指導士の資格を持つ看護師さんに「あの~、頑張ったらインスリン注射をやめることができますか?」と質問してみました。

 

重症の糖尿病患者が糖質制限で元気に暮らしているという内容の漫画

 

看護師さんが「そうよ、頑張ればインスリン注射をやめられるわよ。私、今までにそういう患者さんをたくさん見てきたから頑張りましょうね♪」と言ってくれるものと期待しました。

ところが残念ながら、彼女は「うーん…頑張れば注射の量を少し減らすことはできるかもしれないけど完全にやめるのは無理だと思うわ、残念だけど」との返事。凹みました💦

そして退院から2か月半、前の主治医が転勤されて現在の主治医と初めてお話をした時に告げられたのが「検査結果を見る限り、貴女はこの先も一生インスリン注射を継続しなければいけないでしょう」という現実でした。

主治医も看護師さんも「あなたほど重症の糖尿病患者がいったんランタスを打ち始めてから中止できた例は(まず)見たことがない」と言っているに等しかったわけです。

 

にゃご
にゃご

先生も看護師さんも、そういう患者さんを見たことがないんだろうニャ~💦

よっしー
よっしー

大部分の私みたいな患者さんがインスリン離脱しているのならそう言ってくれるはずでしょ?でも現実は…

糖尿病の標準治療を否定しているわけではない…

みなさんも経験があるかもしれませんが、糖尿病で糖質制限をしているというと「なに?糖尿病の標準治療を否定するのかッ!?」と噛みつかれることがあるんですよね。

いえいえ、決して標準治療を否定などしておりません。標準治療で簡単に改善する方もいらっしゃることはもちろん知っています。

日本人ではなくイギリス人のデータではありますが、高度肥満の2型糖尿病患者は体重をちょっと減らすだけで、標準体重をまだオーバーしていても糖尿病が寛解する可能性があるそうです。

でも問題は、すべての患者が標準治療で寛解するわけではないという事実です。現在、きちんと糖尿病治療を受けている患者たちのHbA1cの平均値は7だそうですけど、これってうまくいっていると言えますか?

 



 

標準治療でうまくいく患者さんたちはそれでいいので、そうではない方にも効果がある別の方法を選択肢のひとつに加えてくれればいいではありませんか。

最近は血液クレンジング(オゾン療法)という治療法がとても話題となって大炎上したせいか、「標準治療以外はすべてインチキなので排除しなければいけないっ!!」とピリピリなさっている医療関係者の方たちがとても多いです💦

ただ、現在日本ではまだ標準治療とされていなくてもアメリカなどいくつかの国ではすでに認められているのが糖質制限です。

科学的根拠が皆無のインチキ療法をアメリカ糖尿病学会が正式に選択肢のひとつとして認めるわけがないと思うのですが、いかがでしょう?

 

日本人でも糖質制限食は有効−初のRCT | ニュース|Medical Tribune

 

「糖質制限にはエビデンスがない」と思われがちですが、すでに日本人を対象としたランダム化比較試験が行われており良い結果が出ています。

ランダム化比較試験というのは、調べたい条件以外はなるべく偏らないように気を付けて被験者をグループ分けして、ある事柄について影響・効果をなるべく正確に調べるものです。

肥満の方や糖尿病患者、運動しない方、タバコを吸う方などをグループAにたくさん含めて「グループAとBではAのほうが死亡率が高かった!ゆえにBが正しい」と言っても信頼できませんからね💦

人間を対象として食事療法の効果を正確に評価すること自体難しいのですが、これから時間とともにデータは蓄積されていくでしょうね。

 

「末期」糖尿病患者に希望はあるのか

糖尿病と診断されたばかりであれば、わずかな努力で糖尿病寛解も期待できます。しかしよっしーのように糖尿病合併症がすでにある患者は「末期である」と表現されることもあるでしょう。

先日はテレビ番組で「糖尿病性ケトアシドーシスは末期の糖尿病の方にしか起こらない」と説明されていて「そうか、末期か…」と改めてしょんぼりしたものです。

冒頭で紹介した看護師さんと主治医も、きっと糖尿病ルーキーの患者さんたちには「頑張ればきっと良くなりますよ」と説明なさっておいでなのでしょう。

でも…よっしーのような患者は一生インスリン注射を継続しなければいけないのが常識なのでしょう。インスリンが絶対に必要な1型の方と違い、2型糖尿病でランタスやトレシーバを注射するのは決して軽症とは言えませんもの💦

 



 

5年近く前にすでに糖尿病合併症がいくつも存在しており、しかも「貴女は一生インスリン注射を継続しなければいけないでしょう」と宣告されたよっしーです。

でも幸い注射は7か月で卒業し、血糖値は正常値とはいきませんがまずまずのコントロールをキープできています。直近のHbA1cは5.8でしたが、もう少し下げられるかもしれません。

糖尿病神経障害の自覚症状はすべて消失し、糖尿病腎症と糖尿病網膜症は特に服薬などの治療をすることなく経過観察で済んでいます。

次男を産んだ後、産婦人科医から「貴女は先の人生がまだ長いのだから、糖尿病にならないように何としても気を付けなければいけませんよ」と言われました。

 

 

残念ながら「気を付けていたつもりだったけど、自分にはちょっと方法が合わなかった」ためにいつの間にか糖尿病になり、長年気づかずにほったらかしてうんと悪くなってしまいましたが💦

ここまで悪化してしまった糖尿病患者は、もはや諦めるしかないのでしょうか?…いいえ、そうは思いません。時間はかかっても糖尿病合併症もきっと改善していくと信じています。

糖尿病患者もじつにいろいろで、発症したばかりの方から長年放置した方、まだ糖尿病合併症がない方から合併症の治療をしている方までいらっしゃいます。

「標準治療」の選択肢が増えれば、誰もが自己流ではなく医師の指導のもとで安全に食事療法を行うことができるのですが…その日が来るのを私たちは待っています。

 

にゃご
にゃご

医師たちが正しく指導してくれれば、糖質制限も安全に行えるニャー!

よっしー
よっしー

選択肢が増えれば、それだけ救われる患者も増えるのよね。

 

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