低インスリン療法のための糖尿病薬を試しましたが…
じつは、かなり前からずっとブログ記事にすべきかどうか迷いながらもなかなか書けない内容がありました。
それを記事にすることで、糖質制限の何人かの先生方のお考えやそれを実践する患者さんたちを否定することになるんじゃないか、または誰かが真似をすると危険なのではないかと思ったからです💦
しかし例のナイアシン大量服用による高血糖&持続性タンパク尿事件のこともあり、これは一人の患者の体験として「こういうこともありますよ」と伝えるべきではないかと思いました。
というわけで、あくまでもイチ患者に起きた出来事にすぎないということを踏まえたうえで記事の続きをお読みくださいませ。
5年近く前に糖尿病性ケトアシドーシスで緊急入院したよっしーは、当時の主治医に許可を得て糖質制限を開始しました。
食事とは無関係に毎晩打つインスリン注射の「ランタス」と1日1錠の飲み薬「グラクティブ」とコレステロールを下げる薬「リバロ」です。
リバロはLDLコレステロール値が下がり過ぎたので怖くなり、主治医と相談してすぐに服用を中止しました💦
ランタスは血糖値を見ながら少しずつ打つ量を減らし、ネットで糖質制限派の医師たちからのアドバイスでランタスとグラクティブも完全にやめたのが治療開始から7か月後のことでした。
当時「インスリンもグラクティブ(DPP-4阻害剤)も高インスリンを引き起こすので糖尿病合併症を悪化させる」と言われ、実際眼科で眼底出血の跡があると言われて凹んでいましたのでね💦
それで「尿に糖を出してしまう薬(スーグラなどSGLT2阻害剤)と肝臓の糖新生をおさえるメトグルコを飲むといいです」と言われたので、主治医にお願いしてみました。
主治医は「今ぐらいの数値なら何も飲まなくてもいいけど、ま、どうしても飲みたいなら出すよ」とおっしゃいました。
メトグルコでは朝の高血糖にはあまり効果がなく、スーグラは最初は明らかに効果があって喜んで飲んでいたのですが…
スーグラとメトグルコは低インスリン療法でよく使われる薬だニャン。
糖質制限だけでは血糖値が正常化しない、比較的重症の2型糖尿病患者さんたちがみんなで飲み始めたのよね。
メトグルコってどういう糖尿病薬?
メトホルミンは、1950年代から使用されている糖尿病の飲み薬です。つまり何十年も継続して飲み続けることに関して安全であるというデータはあるわけです。
同じ仲間の薬で過去に危険な副作用が起きやすいとして発売中止になったものもありますけど、現在発売されているメトグルコ(商品名)は2型糖尿病患者に広く処方されています。薬価が安いのもありがたいです。
メトグルコは主に肝臓での過剰な糖新生を抑えることによって空腹時血糖値を下げます。また筋肉、脂肪組織など末梢での糖分の利用を促進したり小腸からの糖分の吸収を抑制するそうですが、その効果は実感としてはちょっと分からないです💦
インスリン分泌を促さない良い薬なのになぜ最初主治医が処方しなかったのか分かりませんが、今の主治医いわく「(あまりにも病気が重いので)どうせたいして効かないと思ったんじゃない?」ですって。
上の図は大日本住友製薬(株)様のサイトからお借りしました。メトグルコは飲む量に比例するようにHbA1cと空腹時血糖値が低下しているのが分かります。
よっしーは250㎎×4錠を朝食前・昼食前・夕食前・寝る前に1錠ずつ飲んでいます。2倍量飲めばもっと血糖値は良好になるのかもしれません。
もともと朝の暁現象(糖尿病患者の朝の血糖値が高くなる現象)を克服したくてメトグルコを処方してもらったのですが、残念ながらあまり効果は見られませんでした💦インスリン分泌能力が低下していたせいかしら。
しかし血糖値を下げる効果というよりも、メトグルコの抗がん作用に期待してずっと飲み続けることにしました。
メトホルミン(メトグルコ)にガンを予防する効果があることは過去に世界各国で報告されており、今はやりのトンデモ医療情報とは違いますからね、念のため!
大腸ポリープを切除した患者151人にメトホルミン250mgを服用させたところ、1年後の再発率は約4割少なかったそうです。
ただメトグルコは比較的副作用が起きる確率が高い薬のようで、15.3%の患者さんが下痢をしてしまうそうです…吐き気も5%以上の確率で起きるそうなので、そこは注意が必要ですね。
スーグラってどういう糖尿病薬?
SGLT2阻害薬(商品名はスーグラ、ジャディアンス、フォシーガ等)は、余分な糖を尿の中に捨ててしまう薬です。
こちらもインスリン分泌を促さずに血糖値を下げる良い薬ということで、糖質制限をしてもなかなか理想の血糖値まで下がらない場合にオススメの薬として勧められました。
よっしーの場合、飲み始めた時にお手洗いが近くなって血糖値が下がって「おおお!これはすごい!」と思ったんですけど、その効果はあまり長く続かなかったです💦いつの間にかじわじわと飲む前の状態に戻ってしまったような感じ。
じつは近年、SGLT2阻害薬の投与により血中グルカゴン濃度が上昇することが報告されているそうです。詳しいことはまだ不明ですが、尿に糖を出してしまう分を補おうとするのではないかと推測されているそうです。
ただでさえ糖尿病患者の空腹時の血中グルカゴンは健常者よりも増加しているというのに…「大変だ!スーグラが尿に糖を出すから張り切ってどんどん糖新生しなきゃ!」ってこともある??
外食時に糖質の多いものを食べる日だけスーグラを服用するという方もいらっしゃいましたが、残念ながらよっしーの場合劇的な効果を感じたことは1度もなかったです💦
健常者では本来出ないはずの尿糖をあえて出す薬なので、副作用としては感染症やかゆみなどを引き起こしやすいので気を付ける必要がありますね。
メトグルコ+スーグラは気を付けなければいけないことも
低インスリン療法でよく使われるメトグルコとSGLT2阻害薬ですが、この2つを併用するとごくまれではありますが「乳酸アシドーシス(50%の確率で死亡)」を起こすことがあります。
メトグルコ単体で乳酸アシドーシスが起きる可能性はかなり低いのですが、SGLT2阻害薬と併用して脱水が起きたり、飲酒、下痢や嘔吐を伴う風邪などで発症率が高まるそう。
じつはメトグルコとスーグラを併用していた時期、何度か夜遅くに突然吐き気がして嘔吐してしまったことがありました💦飲み始めの時期ではありません。
結局その理由は明らかになっていませんが、スーグラを中止してメトグルコだけにしてからは1度も起きていません。あれはなんだったんでしょう…肝機能も正常だし…
SGLT2阻害薬を服用している場合は、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスを起こしている(=正常血糖ケトアシドーシス)場合があるので注意するように、と当時主治医から言われたことがあります。
ケトアシドーシスになると腹痛・吐き気・嘔吐・全身がだるいなどの自覚症状が出ますので、おかしいなと思ったら早く病院へ行きましょう。
糖尿病患者は飲み薬とどう付き合うべきか?
「できれば薬は飲みたくない」と考える方は多いと思いますし、よっしーもそう思っていました。しかし、メリットとデメリットをよく考えることが大切だと今は思っています。
インスリン注射、グラクティブ、ランタス、リバロ、スーグラは中止しましたが、メトグルコは血糖値を下げる効果こそ自分には不十分であるものの、ガン予防効果に期待してこれからも継続しようと思っています。
これはビタミンやミネラルのサプリメントにも同じことが言えます。「食事以外何も飲まない事」に頑なに固執するよりも、上手に利用して良い結果を得られる方がいいことだってあります。
まぁメトグルコがとても安価な薬なので「この値段でガン予防効果が証明されているのだから飲まないテはないじゃないか」という気持ちは正直あります💦
これは個人的な意見ですが、病気を早期発見することは非常に大切な事でしょうけど、それだけではダメで「そもそも少しでも病気を予防するためにはどうすればいいか」を考えなければ。
糖尿病患者だからと言って単に血糖値さえ低ければそれでいいわけではないですし、かなり病気が悪化してしまったのに「自然」にこだわりすぎるのも良い結果を生まない可能性があります。
また同じ薬でも副作用が出る人と出ない人がいます。結局、各自でメリットとデメリットを考え、副作用が出ないか慎重に様子を見ながらうまく付き合っていくことが大事だと思います。
これらの薬を飲んで治療している方もたくさんいらっしゃるのでなかなか記事にする勇気がありませんでしたが、どなたかの参考になれば幸いです。
なお、病気の種類や状態によっては薬を勝手に減らしたりやめたりするとたいへん危険な場合があるので必ず事前に主治医に相談してください。
よっしーがスーグラをやめる前、主治医に相談したら「じゃあ次の診察までの日数の半分の日数分だけ薬を出すから半分にカットして飲むといいよ」とアドバイスをいただきました。
薬は副作用が出るものや飲まなくても大丈夫なものもありますが、どうしても必要な場合は上手に使ってくださいね。これは他の病気の場合も同じです。
絶対に副作用が出ない薬はないけど、必要に応じて上手に利用しようニャー!
何か変だと感じたらすぐ主治医に相談しましょうね。